不動産投資と聞くと、多くの人は「物件を購入して家賃収入を得る方法」をイメージするでしょう。しかし、近年注目されている不動産クラウドファンディングは、少額から始められる手軽な投資手段として人気を集めています。
この投資では、運営会社がファンドを通じて不動産を取得・管理し、投資家は出資することで分配金を受け取る仕組みになっています。そのため、初心者でも始めやすいのが特徴です。ただし、不動産クラウドファンディングには短期(数か月)から長期(数年)まで様々な運用期間があり、選び方を誤ると資金が長期間拘束されたり、リスクが高まる可能性があります。例えば、短期運用(6か月~1年)は資金の流動性が高く、リスクを抑えやすい一方で、利回りが低いケースが多いです。対して、長期運用(2年以上)は高いリターンを期待できるものの、市場の変動リスクや元本割れのリスクも伴います。
では、どの運用期間を選ぶべきでしょうか?
本記事では、短期・中期・長期のメリット・デメリット、資金拘束期間やリスク、分配金の違いを詳しく解説していきます。
・運用期間ごとの違い
・運用期間ごとのメリット・デメリット・向いている人の特徴
・運用期間と分配金の仕組みについて
不動産クラウドファンディングの仕組みと運用期間の関係

運用期間は、投資のリターンや資金の流動性に大きく影響を与えるため、慎重に選ぶ必要があります。では、不動産クラウドファンディングの運用期間はどのように設定されているのでしょうか。まずは、基本的な仕組みから解説していきます。
不動産クラウドファンディングの仕組み
不動産クラウドファンディングは、複数の投資家から少額ずつ資金を集めて、不動産を運用し、その利益を分配する仕組みです。従来の不動産投資とは異なり、1口1~10万円から始められ、物件の管理や運営の手間がかからない点が特徴です。
投資家は、運営会社が選定したファンド(不動産案件)に出資し、運用期間が終了すると、分配金と償還金が支払われる仕組みになっています。そのため、現物不動産を所有するのはハードルが高いと感じている方、ローンを組むリスクを避けたい方でも、手軽に資産運用を始められる投資方法として人気が高まっています。
短期・中期・長期の一般的な目安
不動産クラウドファンディングの運用期間は、案件ごとに異なりますが、一般的には短期・中期・長期の3つに分類されます。
運用期間 | 目安 | 市場変動リスク |
短期運用 | 6か月~1年 | 低い(影響を受けにくい) |
中期運用 | 1~2年 | 低い(影響を受けにくい) |
長期運用 | 2年以上 | 高い(景気・金利変動の影響を受けやすい) |
短期・中期・長期の違いを比較!

運用期間の長さによって、リターンやリスク、資金拘束期間などが大きく異なるため、それぞれの違いをしっかり把握することが重要です。
では、短期・中期・長期の違いを具体的に比較しながら、それぞれの運用がどんな投資家に向いているのか見ていきましょう。
短期運用の特徴
短期運用は6か月~1年程度の案件が中心で、比較的リスクを抑えながら資金を運用できるのが特徴です。
- メリット
-
・資金の流動性が高い
→ 短期間で資金を回収できるため、次の投資へ素早く移行できる・市場リスクを抑えやすい
→ 運用期間が短いため、景気変動や金利上昇の影響を受けにくい・短期間でリターンを得られる
→ 投資した資金を早めに回収できる - デメリット
-
・利回りが低め
→ 長期運用に比べてリターンが小さくなる傾向がある・案件数が限られる
→ 短期案件は長期案件に比べると選択肢が少ない・再投資の手間がかかる
→ 運用終了後、次の案件を探す必要がある - 短期運用に向いている人
-
・資金の流動性を重視したい人(すぐに使う可能性がある資金を運用したい人)
・市場リスクを抑えたい人(景気変動の影響を受けにくい運用をしたい人)
・投資初心者(短期間で資金を回収できるため、まずは試してみたい人)
中期運用の特徴
中期運用は1~2年程度の案件が中心で、短期より高いリターンを狙いつつ、長期ほどの資金拘束リスクがないのが特徴です。
- メリット
-
・短期よりも高い利回りを狙える
→ 運用期間が長くなる分、リターンが増える可能性がある・資金の流動性と収益性のバランスが取れる
→ 長期運用ほど資金が拘束されず、短期よりリターンが期待できる・市場の成長を取り込める
→ 1~2年の運用で、市場の成長に伴うリターンを得ることができる - デメリット
-
・短期より市場リスクが高い
→ 1~2年の間に景気や金利の変動があると影響を受ける可能性がある・資金拘束期間がある
→ 短期運用に比べると、資金が動かせない期間が長くなる - 中期運用に向いている人
-
・短期より高いリターンを狙いたい人(リスクを許容しながら、より収益性を高めたい人)
・長期運用ほどの資金拘束は避けたい人(短期と長期のバランスを取りたい人)
・市場の成長を取り込みながら投資したい人
長期運用の特徴
長期運用は2年以上の案件が中心で、高いリターンを期待できる一方、資金の拘束期間が長くなるのが特徴です。
- メリット
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・高い利回りが期待できる
→ 長期間の運用で、短期・中期よりも高い収益を見込むことができる案件が多く、高い利回りが狙える・安定的な分配金を受け取れる場合もある
→ 毎月や四半期ごとの分配金がある案件もある・複利効果を活かしやすい
→ 長期間運用することで、得たリターンを再投資し、資産を効率的に増やせる - デメリット
-
・資金が長期間拘束される
→ 運用期間中は基本的に引き出せない・市場変動の影響を受けやすい
→ 景気後退や金利上昇があると、収益性に影響を受ける可能性がある・投資判断を長期的に考える必要がある
→ 途中で資金が必要になった場合、解約できないリスクがある - 長期運用に向いている人
-
・高いリターンを狙いたい人(資産を長期的に増やしたい人)
・資金を長期間運用できる人(すぐに必要にならない余裕資金がある人)
・市場の成長を活かしながら、安定した収益を得たい人
どの運用期間を選ぶべき?投資目的別おすすめの選び方
ここまで短期・中期・長期の特徴を見てきましたが、結局のところ「どの運用期間を選ぶべきか?」と悩む方も多いでしょう。
投資目的によって最適な運用期間は異なるため、以下のような基準で選ぶと良いでしょう。
資金の流動性を重視しながら運用したい方
短期運用(6か月~1年)
安定的な利回りを狙いながら、資金の拘束を抑えたい
中期運用(1~2年)
長期的な資産形成を目指したい
長期運用(2年以上)
「短期と長期を組み合わせる」ことで、資金の流動性と高いリターンをバランスよく確保する方法もあります。例えば、50%を短期運用、50%を長期運用にすることで、リスクを分散しながら効率的に資産を運用できます。
運用期間と分配金の仕組み

不動産クラウドファンディングでは、運用期間だけでなく「分配金の支払い方法」も投資判断の重要なポイント になります。
投資案件によっては「満期一括払い」と「定期分配型」など、異なる分配方式が採用されており、運用期間によって分配金の受け取り方も変わることが多いです。
では、運用期間ごとの分配金の仕組みと、それぞれのメリット・デメリットを解説していきます。
短期案件の分配の仕組み
短期運用(6か月~1年)の案件では、満期時にまとめて分配金が支払われる「満期一括払い」が多いのが特徴です。
満期一括払いの仕組み
・運用期間中は分配金の支払いはなく、運用終了時(満期時)に元本と利益がまとめて支払われる。
・分配金は運用終了時に元本と合わせて償還されるため、途中で利益を得ることはできない。
- メリット
-
・運用期間中に資金の変動がない
→ 投資した資金が固定され、余計な手続きが不要。・税金の管理がしやすい
→ 受け取る回数が少ないため、確定申告などの管理が簡単。 - デメリット
-
・運用期間中は利益を得られない
→ 途中で分配金を受け取れないため、分配金を生活費に活用したい人には不向き。・投資期間中の市場変動リスク
→ 運用期間が短いとはいえ、ファンドの運営状況や市場の影響で分配金が減額される可能性もある。
中期~長期の分配の仕組み
中期(1~2年)~長期(2年以上)の案件では、「満期一括払い」に加え「定期分配型」のファンドがある のが特徴です。
定期分配型の仕組み
・運用期間中に定期的(毎月、四半期ごと、半年ごとなど)に分配金が支払われる。
・分配金の金額は事前に決まっている場合が多いが、市場状況やファンドの運用成績によって変動するケースもある。
・運用終了時には、最終の分配金と元本部分に相当する償還金が支払われる。
- メリット
-
・定期的に収益を得られる
→ 生活費や他の投資資金として活用できる。・長期運用でも資金の一部を回収できる
→ 元本が完全に拘束されるわけではなく、一定のキャッシュフローを得られる。 - デメリット
-
・分配金の減額リスクがある
→ ファンドの運用状況によっては、分配金が減額される可能性がある。・複利運用がしにくい
→ 受け取った分配金を再投資する場合、別の投資先を見つける必要がある。
満期一括と定期分配型、どっちがいい?
「満期一括払いと定期分配型、どちらを選ぶべき?」と迷う方も多いでしょう。結論としては、「投資の目的」によって最適な分配方式が異なります。
定期分配 | 満期一括 | |
資金の流動性 | 高い(定期的に収益を得られる) | 低い(運用終了まで分配なし) |
税金 | 毎月の分配金に課税 | 満期時にまとめて課税 |
向いている人 | 収益を定期的に受け取りたい人 | 長期的な資産形成をしたい人 |
・定期的に受けとる分配金を生活費や他の投資に活用したい人
・長期運用でも、定期的にリターンを受け取りたい人

長期運用にチャレンジしたいものの、資金が長期拘束される点が気になる方は、分配型のファンドを選ぶことで、定期的な分配を受け取ることができます。また、「毎月分配型と満期一括払いを組み合わせる」ことで、資金の流動性を確保しながらリスクを分散し、バランスの良い運用をすることも可能です。
【事例】実際の不動産クラウドファンディング案件


ここまで、運用期間や分配金の仕組みについて解説してきましたが、「実際に投資した場合、どれくらいのリターンが得られるの?」「どれくらい資金が引き出せないの?」という点も気になるところでしょう。
そこで、短期・中期・長期それぞれの運用期間で、投資額100万円の場合の収支例と資金拘束期間を比較します。
投資金:10万円
年間利回り:3%
分配金:定期分配型(半年に一度)
運用期間 | 一回あたりの分配金 | 分配金総額 | |
長期ファンド | 3年 | 15,000円 (10万円×3%÷2) | 90,000円 (15,000円×6回) |
短期ファンド | 6ヵ月 | 15,000円 (10万円×3%÷2) | 15,000円 |
短期運用を繰り返せばリスクが減る!?
「短期運用の方が市場リスクが低いなら、短期案件を繰り返せば良いのでは?」 と考える方もいるかもしれません。
確かに、短期運用を継続すれば市場リスクを抑えながら投資できますが、以下のようなデメリットもあります。
短期案件は常にあるとは限らず、資金を回収しても次の投資先がすぐに見つからない場合があります。また、短期運用のファンドは運用のしやすさから、比較的人気になることが多く、場合によっては抽選式で投資が確実にできない可能性もあります。すぐに次の運用ができず、投資の「空白期間」ができると、運用効率が下がってしまいます。
短期運用では毎回案件を探し、出資手続きを行う必要があります。その都度ファンドの安全性を見極めるのは手間がかかります。
不動産クラウドファンディングでは、資金を入金してからすぐに運用が始まるわけではありません。また、運用終了後も即座に資金が戻るわけではなく、一定の手続き期間が必要となるため、実際の資金拘束期間は運用期間より長くなる場合があります。
例えば、3年間の収益を得るために短期のファンドへ複数回投資した場合、長期ファンドと比較して資金拘束期間はどの程度変わるのでしょうか?とします。
※ここでは、ファンドの運用開始前と終了後の資金拘束期間(手続き期間等)を合わせて1か月と仮定します。
運用期間 | 投資回数 | 開始前・終了後 | 資金拘束期間の合計 | |
短期ファンド | 6ヵ月 | 6回 | 6カ月 | 42ヵ月 (36ヵ月+6ヵ月) |
長期ファンド | 3年 | 1回 | 1か月 | 36ヵ月 |
Jointo αの特徴と運用期間


不動産クラウドファンディングにはさまざまなサービスがありますが、Jointo αはその中でも注目されているサービスの一つです。
ここでは、Jointo αの特徴と、提供されているファンドの運用期間の傾向について解説します。
Jointo αの特徴
「Jointo α」は、あなぶき興産株式会社が運営する不動産クラウドファンディングサービス です。運営会社の信頼性が高く、投資初心者でも安心して始められる仕組みが整っています。
- 運営会社が上場企業で安心
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Jointoαは東証スタンダード上場企業の穴吹興産株式会社が運営しており、倒産リスクが比較的低いと考えられます。また、不動産開発や管理の実績が豊富で、安定した運営が期待できる点も大きな魅力です。
- 1口10万円から投資可能
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Jointo αでは、1口10万円から投資が可能なため、少額で不動産投資を始められるのが特徴です。 従来の不動産投資のように大きな初期資金を用意する必要がなく、まとまった資金がなくても投資をスタートできるため、初心者でも挑戦しやすい仕組みとなっています。
- 優先劣後出資制度を採用
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投資家の元本割れリスクを抑える「優先劣後出資制度」を採用しています。これは、運用成績が悪化し損失が発生した場合でも、まずは運用会社が劣後出資分で損失を負担する仕組みです。これにより、投資家が出資した優先出資分が一定程度保護され、リスクを軽減しながら投資を行うことができます。
- 手間がかからずオンラインで完結!
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Jointo αでは、不動産の管理や運営はすべて運営会社が行うため、投資家が手間をかける必要はありません。 物件の管理や賃貸運営などの煩雑な作業は不要で、出資後は運用が終了するのを待つだけで収益を得られる仕組みになっています。
また、投資の申し込みから運用状況の確認まで、すべてオンラインで完結するため、忙しい方でも手軽に不動産投資を始めることができます。
Jointo αの運用期間の傾向
「Jointo α」では、短期から中期の運用案件が多く提供されており、資金の流動性を確保しながら不動産投資ができる点が大きな魅力です。
運用期間 | 募集案件数 | ファンドの特徴 |
6カ月 | 13件 | 小規模な物件が多く、投資初心者におすすめ |
12ヵ月 | 26件 | 複数物件を組み合わせてリスクを分散させた商品が多く人気 |
36ヵ月 | 1件 | 大規模な物件へ投資。高利回りかつ、定期分配で定期的にリターンを受け取れる |
※2025年2月25日現在
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不動産クラウドファンディングにおいて、短期・中期・長期の運用期間にはそれぞれ異なる特徴があり、リスクとリターンのバランスも大きく変わってきます。 短期運用は資金の流動性が高く、市場変動の影響を受けにくい反面、利回りが低めです。中期運用は、リターンとリスクのバランスが取れており、比較的安定した投資が可能です。そして長期運用は、最も高いリターンを狙える一方で、資金拘束期間が長く、市場リスクを受けやすいという特徴があります。
そのため、「どの運用期間を選ぶか」は、投資の目的や資金計画によって決めることが重要です。 すぐに資金を使う予定がある場合は短期運用、安定したリターンを求めるなら中期運用、長期的に資産を増やしたい場合は長期運用が適しています。また、それぞれのメリットを活かすために、短期・中期・長期を組み合わせて投資するのも一つの方法です。
「Jointo α」では、短期から中期の運用案件が多く提供されており、資金の流動性を確保しながら不動産投資ができる点が大きな魅力です。最近では3年運用の長期案件も登場し、選択肢がさらに広がっています。 そのため、運用期間ごとの特徴を理解し、自分に最適な案件を見つけることが大切です。
まずは、無料会員登録をして最新の案件情報をチェックし、どの運用期間が自分に合っているかを確認してみましょう!
不動産クラウドファンディングの運用期間でよくある質問


不動産クラウドファンディングの運用期間について、投資家さんからのよくある質問に対して分かりやすく解説していきます。
- 不動産クラウドファンディングの運用期間は、どのくらいのものが多いですか?
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不動産クラウドファンディングの運用期間は、6か月~12か月の短期・中期案件が多いですが、1.5年~3年の中・長期案件も一部あります。特に、短期案件は資金の流動性が高く、長期案件は高いリターンを狙いやすいという特徴があります。
- 運用期間が短いほどリスクは低いのですか?
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運用期間が短いと、市場変動の影響を受けにくくなるため、価格変動リスクや金利上昇リスクが低くなる というメリットがあります。特に、景気の変動が激しい時期には、短期運用のほうが安定しやすいと考えられます。
しかし、短期運用でも倒産リスクや資金拘束のリスクがゼロではありません。 例えば、ファンドを運営する企業の経営が悪化すると、予定通りの分配や償還が行われない可能性もあります。そのため、短期運用=ノーリスクではないことを理解し、運営会社の信頼性やファンドの安全性をしっかりチェックすることが大切です。
- 運用期間の途中で解約することはできますか?
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基本的に、不動産クラウドファンディングのファンドは運用期間中の途中解約ができないものがほとんどです。これは、投資家から集めた資金をもとに不動産を運用しているため、途中で投資資金を引き出すと、ファンド全体の運営に影響が出るためです。
ただし、一部のサービスでは途中売却が可能なケースもあります。しかし、売却価格が変動する可能性があり、元本割れのリスクを伴うため、慎重に判断する必要があります。
- 短期ファンドを繰り返し投資すれば、長期運用と同じようなリターンを得られますか?
-
短期ファンドを繰り返せば、長期投資と同じように資産を運用することは可能ですが、次の投資先がすぐに見つからない場合、その間は資金が滞留し、運用効率が下がるリスク があります。また、短期案件は利回りが低めに設定されていることが多いため、長期案件の方が最終的なリターンが高くなる可能性もあります。 そのため、短期・中期・長期の案件をバランスよく組み合わせる のが理想的です。
- 長期投資のメリットって何?
-
長期投資の最大のメリットは、高い利回りを狙えること です。一般的に、運用期間が長くなるほどファンドのリターンが大きくなる傾向があり、短期運用よりも高い収益が期待できます。また、市場の一時的な変動に左右されにくく、景気や金利の変動があっても、市場の回復を待ちながら安定したリターンを狙える点も魅力 です。さらに、分配型のファンドであれば、定期的な分配金を受け取ることができ、安定したキャッシュフローを得ることも可能 です。ただし、資金が長期間拘束されるため、途中で現金が必要になった場合に対応できないリスク があります。そのため、長期投資は余裕資金で行うことが重要 です。