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ソーシャルレンディングの仕組みは?メリットと注意点も解説

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毎月数万円から始められて、年利3~8%程度の安定収益が期待できる投資手法が「ソーシャルレンディング」です。銀行預金よりも高リターンが期待でき、個人投資家と資金を必要とする企業をつなぐ仕組みです。

株式投資のような値動きに一喜一憂することなく、毎月決まった分配金を受け取れるため、投資初心者から経験豊富な投資家まで幅広く支持されています。しかし、デメリットや注意点もあるため、自分に合っているかどうかは冷静に判断しましょう。

この記事から分かること
  • ソーシャルレンディングの基本的な仕組みと期待できる利回り
  • ソーシャルレンディングの主なメリット
  • ソーシャルレンディングの主なデメリットとリスク
  • ソーシャルレンディングを始める上での注意点と事業者選定の重要性
目次

ソーシャルレンディングとは何か

ソーシャルレンディングとは、インターネットを通じて個人投資家から集めた資金を、資金を必要としている企業や個人に融資する仕組みのことです。従来の銀行融資とは異なり、「ソーシャルレンディング事業者」が仲介役となって、投資家と借り手を直接つないでいます。

簡単にいうと、「お金を運用したい人」と「お金を借りたい企業」をマッチングするプラットフォームです。投資家は事業者が募集するファンドに出資し、借り手企業から支払われる利息の一部を分配金として受け取ることができます。

この仕組みの最大の特徴は、従来であれば銀行や信用金庫などの金融機関しか行えなかった融資業務を、個人でも参加できるようにした点です。投資家には新たな投資先を、企業には新たな資金調達手段を提供しています。

ソーシャルレンディングで扱われる案件は、不動産開発資金や太陽光発電事業、中小企業の運転資金など多岐にわたります。投資家は自分の興味や知識に応じて、投資先を選択することが可能です。

ソーシャルレンディングの仕組み

ソーシャルレンディングの具体的な仕組みや投資後の流れは、以下のとおりです。

STEP
投資家:会員登録

投資家はソーシャルレンディング事業者のウェブサイトに会員登録を行う。

STEP
投資家:ファンド閲覧

事業者が募集しているさまざまなファンドを閲覧する(投資先の事業内容や予定利回り、運用期間、最低投資金額などの詳細情報など)。

STEP
投資家:振り込み

指定された金額を事業者の口座に振り込む。

STEP
事業者:融資

事業者は集まった資金を借り手に融資する。

STEP
借り手:元本と利息を返済

融資実行後は、借り手が事業者に対して元本と利息を返済する。

STEP
事業者:投資家へ分配

事業者は受け取った利息から手数料を差し引いた後、残りを投資家に分配する。

STEP
借り手:元本返済

運用期間が終了すると、借り手から元本が返済され、投資家にも償還される。

一連の流れの中で、ソーシャルレンディング事業者は重要な役割を果たしています。借り手企業の信用審査やファンドの組成、投資家への情報提供など、多岐にわたる業務を担当しています。

ソーシャルレンディングとクラウドファンディングの違い

ソーシャルレンディングとクラウドファンディングは、どちらもインターネットを通じて不特定多数の人から資金を集める仕組みです。しかし、その目的や仕組みには違いがあるため、整理しておきましょう。

項目ソーシャルレンディングクラウドファンディング
主な目的投資・資産運用商品購入・支援・寄付
リターンの形態金銭的リターン(利息)商品・サービス・特典
投資家の動機利回りを求める商品への共感・支援
リスク元本割れのリスクあり商品が届かないリスクあり
法的位置づけ貸金業法の規制対象特定の法規制なし(一部除く)
運用期間通常数カ月~数年通常数ヶ月~数年(プロジェクト完了まで)
最低金額1万円~数千円~

ソーシャルレンディングは明確に「投資」として位置づけられ、投資家は金銭的なリターンを期待して参加します。一方、クラウドファンディングは「支援」や「購入」の側面が強く、出資者は商品やサービス、特典を受け取ることを期待しているケースが一般的です。

また、規制面でも大きな違いがあります。ソーシャルレンディングは貸金業法の規制を受け、事業者は厳格な登録要件を満たす必要があります。これに対し、一般的なクラウドファンディングは特定の法規制を受けません。

投資家にとって重要なのは、ソーシャルレンディングでは元本割れのリスクがある一方で、安定した利息収入が期待できることです。クラウドファンディングでは金銭的リターンは期待できませんが、新しい商品やサービスをいち早く手に入れたり、社会貢献につながるプロジェクトを支援したりできます。

ソーシャルレンディングのメリット

ソーシャルレンディングには、どのようなメリットがあるのかを具体的に見ていきましょう。

少額から始められる

ソーシャルレンディングの魅力は、投資初心者でも始めやすい少額投資が可能なことです。多くのソーシャルレンディング事業者では、1万円や10万円といった金額から投資を始めることができます。

従来の不動産投資であれば数百万円から数千万円の資金が必要でしたが、ソーシャルレンディングなら同じ不動産関連の案件に少額から参加できます。これにより、サラリーマンや主婦といった一般的な投資家でも、気軽に投資を始めることが可能になりました。

また、複数のファンドへの分散投資も可能です。例えば、50万円の投資資金があれば、10万円ずつ5つの異なるファンドに投資することで、1つのファンドで問題が発生しても、ほかのファンドでリスクをカバーできます。

高い利回りが期待できる

ソーシャルレンディングでは、年利3~8%程度の利回りが期待できます。現在の銀行預金金利(0.2~0.5%程度)と比較すると、魅力的な投資先といえるでしょう。

この高い利回りが実現できる理由は、ソーシャルレンディングが銀行融資を受けにくい企業や案件を対象としているためです。

銀行は厳格な審査基準を設けており、リスクが高いと判断された案件には融資を行いません。しかし、そうした案件の中にも収益性の高いものが存在し、ソーシャルレンディングでは収益性・将来性が優れた案件に投資できます。

ただし、高い利回りにはリスクが伴うことを理解しておきましょう。投資家は利回りの高さだけでなく、案件の内容や事業者の信頼性を総合的に判断することが重要です。

手間をかけずに運用できる

ソーシャルレンディングは、一度投資すればその後は基本的に何もする必要がない「ほったらかし投資」が可能です。株式投資のように日々の値動きをチェックしたり、売買のタイミングを測ったりする必要がありません。

投資家が行うのは、最初にファンドを選んで投資するだけです。その後は事業者が借り手企業の管理を行い、毎月決まった日に分配金が投資家の口座に振り込まれます。運用期間が終了すると、元本も自動的に償還されます。

この手軽さは、忙しい会社員や投資に多くの時間を割けない人にとって大きなメリットです。投資について勉強する時間がない人でも、ファンドの内容を理解すれば参加できます。

また、感情的な判断によるミスも避けやすくなります。株式投資では、株価の下落時に不安になって損切りしたり、値上がり時に欲張って高値で買ったりするケースがありますが、ソーシャルレンディングではそうした判断を迫られることがありません。

ただし、「手間がかからない」からといって、投資先の選択を適当に行ってよいわけではありません。最初のファンド選択が投資成果を大きく左右するため、慎重な検討が必要です。

ソーシャルレンディングのデメリット

ソーシャルレンディングには、デメリットや注意点もいくつか存在します。具体的な内容を確認しましょう。

流動性が低い

ソーシャルレンディングの大きなデメリットの一つは、投資したお金を運用期間中に引き出すことができない点です。株式や投資信託であれば、必要なときに売却して現金化できますが、ソーシャルレンディングでは原則として中途解約ができません。

運用期間は案件によって異なりますが、数カ月から数年間に設定されているケースが一般的です。この期間中は、急にお金が必要になったとしても、投資した資金を取り戻すことができません。

例えば、2年間の運用期間のファンドに投資した場合、その2年間は投資した資金が拘束されることになります。この間に子どもの教育費が必要になったり、住宅購入の頭金が必要になったりしても、投資資金を使うことはできません。 そのため、ソーシャルレンディングに投資する際は、必ず余裕資金で行うことが重要です。生活費や近い将来に使う予定のあるお金を投資に回すべきではありません。

元本割れのリスクがある

ソーシャルレンディングは元本保証の商品ではないため、投資した元本が戻ってこない可能性があります。これは借り手企業の経営が悪化したり、投資対象の事業が失敗したりした場合に発生するリスクです。

特に注意すべきは、銀行預金とは異なり預金保険制度の対象外であることです。銀行が破綻しても預金者は1,000万円まで保護されますが、ソーシャルレンディングにはそうした公的な保護制度がありません。

元本割れのリスクは、投資先の事業内容や借り手企業の信用力によって大きく異なります。安定した企業の運転資金融資であればリスクは比較的低いですが、新規事業や海外案件などはリスクが高くなる傾向があります。

元本割れリスクを軽減するためには、1つのファンドに全額投資するのではなく、複数のファンドに分散投資することが重要です。また、投資先の事業内容を十分に理解し、リスクが自分の許容範囲内かどうかを慎重に判断する必要があります。

過去に不正をした会社がある

ソーシャルレンディング業界では、過去にいくつかの事業者で不正行為や不適切な運営が発覚し、投資家に大きな損失を与えた事例があります。

具体的な問題としては、投資家から集めた資金を本来の投資先とは異なる用途に使用したり、借り手企業の財務状況について虚偽の情報を提供したりした事例です。また、分配金の支払いを、ほかの投資家からの新規資金で賄う自転車操業を行っていたケースも報告されています。

こうした問題を受けて、金融庁はソーシャルレンディング業界に対する監督を強化し、事業者には厳格な登録要件と継続的な監視体制を求めています。現在では、借り手企業の情報開示の充実や、投資家資金の分別管理の徹底などが義務付けられています。

事業者を選ぶ際には、金融庁への登録状況や過去の運営実績、財務状況の透明性などを総合的に判断しましょう。

ソーシャルレンディングを始める前の注意点

ソーシャルレンディングで大きな失敗を避けるためにも、以下で解説する注意点を押さえておきましょう。

運用会社の実績や信頼性を確認する

ソーシャルレンディングで成功するためには、信頼できる事業者を選ぶことが重要です。事業者の選択次第で投資成果が大きく左右されるため、複数の観点から慎重に評価する必要があります。

金融庁への登録状況ソーシャルレンディング事業者は第二種金融商品取引業者としての登録があるか
事業者の設立年月日と運営実績長期間にわたって安定した運営を続けているか
財務状況の透明性事業者の財務諸表が公開されているか、資本金は十分か、投資家の資金と事業者の自己資金が適切に分別管理されているか

さらに、過去の貸し倒れ実績やファンドの償還状況についても情報収集を行いましょう。事業者のウェブサイトや説明会、投資家向けレポートなどで、これまでの運用成績や問題発生時の対応状況を確認できる場合があります。

運用期間が決まっているケースがある

ソーシャルレンディングでは、各ファンドに運用期間が設定されており、投資家はその期間中は資金を引き出すことができません。運用期間は案件によって大きく異なり、数カ月の短期案件から数年間の長期案件までさまざまです。

短期案件(6カ月~1年程度)のメリットは、比較的早く元本が戻ってくるため、資金の流動性を保ちやすいことです。一方で、利回りが長期案件より低く設定されている場合が多く、再投資の手間も発生します。

長期案件(2年~5年程度)は、一般的に短期案件よりも高い利回りが期待できますが、その分長期間にわたって資金が拘束されます。この期間中に金利環境が変化したり、より魅力的な投資機会が現れたりしても、資金を移動させることができません。

運用期間を選択する際は、自分のライフプランと照らし合わせることが重要です。結婚や出産、子どもの進学など、大きな出費が予想される時期を避けて投資しましょう。

投資先次第では想定どおりの利回りを得られない

ソーシャルレンディングで表示される利回りは「予定利回り」であり、必ずしもその利回りが保証されているわけではありません。実際の利回りは、借り手企業の事業成績や返済状況によって変動する可能性があります。

例えば、年利6%と表示されているファンドでも、借り手企業の事業が予想を下回ると実際の利回りは3%や4%になる可能性があります。最悪の場合、元本の一部または全部が回収できず、マイナスの収益となる可能性もあり得るのです。

利回りが変動する要因としては、借り手企業の経営状況の悪化や投資対象事業の収益性低下、天災などの不可抗力による影響などが挙げられます。不動産関連のファンドであれば、不動産市況の悪化や入居率の低下が影響することもあります。

想定どおりの利回りを得るためには、投資先の事業内容を十分に理解し、リスクを適切に評価することが重要です。

貸付条件が適切か確認する

ソーシャルレンディングでは、借り手企業に対する貸付条件が投資家の収益とリスクに直結します。貸付条件を詳しく確認し、投資対象として魅力的かどうかを確認することが重要です。

まず注目すべきは貸付金利です。借り手企業に対する貸付金利が高すぎる場合、企業の返済負担が重くなり、延滞や貸し倒れのリスクが高まる可能性があります。逆に金利が低すぎる場合、投資家への分配金も低くなります。

担保や保証の有無も重要な確認ポイントです。不動産担保が設定されている場合、万が一借り手企業が返済できなくなっても、担保不動産を売却して資金を回収できる可能性があります。ただし、担保価値の評価が適切かどうか、担保順位はどうなっているかなども確認が必要です。

貸付期間についても、注意深く検討する必要があります。長期間の貸付ほど、その間に借り手企業の状況が変化するリスクが高まります。

不動産投資に興味がある方は不動産クラウドファンディングの検討を

ソーシャルレンディングの中でも特に人気が高いのが不動産関連のファンドですが、不動産投資により特化した投資手法として「不動産クラウドファンディング」があります。不動産投資に興味のある方は、こちらも併せて検討してみてはいかがでしょうか。

不動産クラウドファンディングとは

不動産クラウドファンディングとは、複数の投資家から資金を集めて不動産を取得・運営し、家賃収入や売却益を投資家に分配する仕組み。

ソーシャルレンディングは開示が少ない場合もある一方で、不動産クラウドファンディングは一般的に物件情報が開示されています。

通常であれば数千万円が必要な不動産投資を、数万円から始めることが可能です。また、不動産の選定、管理、運営はすべて専門業者が行うため、投資家は不動産投資の専門知識がなくても心配はいりません。

リスク面でも、ソーシャルレンディングと比較して安全性が高いという特徴があります。投資対象が実物不動産であるため、借り手企業の信用リスクに左右されにくく、不動産市況が大きく悪化しない限り、元本が全額失われる可能性は低いといえます。

不動産クラウドファンディングでは、投資対象となる不動産の詳細情報(所在地、築年数、入居状況、周辺環境など)が開示されており、投資判断がしやすいという特徴もあります。

不動産投資の一つとして、ぜひ検討してみてください。

まとめ

ソーシャルレンディングは、少額から始められて安定した利回りが期待できる魅力的な投資手法です。銀行預金よりも高いリターンが期待でき、株式投資のような複雑な分析や日々の値動きチェックも不要で、投資初心者にも始めやすい特徴があります。

しかし、元本割れのリスクや流動性の低さ、事業者の信頼性など、注意すべき点も多数あります。投資を始める前には、これらのリスクを十分に理解し、余裕資金で行うことが重要です。

不動産投資に興味のある方は、不動産クラウドファンディングという選択肢もあります。実物不動産への投資でありながら少額から始められ、専門的な管理も不要で、ソーシャルレンディングとは異なるメリットがあります。

ご自身に合った投資手法を選択し、将来のために資産形成を進めていきましょう。

ソーシャルレンディングに関するよくある質問

よくある質問 Q&A
ソーシャルレンディングの元本保証はありますか?

ソーシャルレンディングは元本保証ではありません。借り手の事業状況によっては元本割れリスクがあります。

ソーシャルレンディング投資の最低金額は?

多くのサービスでは1万円からスタートできます。案件や事業者によって設定金額は異なります。

投資後は途中解約できますか?

原則、運用期間中の解約や資金引出しはできません。余裕資金で投資を行いましょう。

どのような案件に投資できるの?

不動産開発資金やエネルギー事業、中小企業の運転資金など多岐にわたります。事業内容やリスクを理解したうえで選択しましょう。

穴吹興産株式会社  不動産ソリューション事業部
アセットマネジメントグループ課長  穴吹 章彦

【資格】
・宅地建物取引士
・不動産証券化協会認定マスター

【経歴】
ソリューション事業部の業務に7年従事し、投資用不動産のアセットマネジメント業務を経験。現在は不動産特定共同事業におけるファンドの組成業務に従事し、投資家との契約業務全般を担当。不動産クラウドファンディングの仕組みや専門用語を解説しながら、情報発信を行っている。

 

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