「高配当ETFはやめとけ」——そんな言葉を耳にして、投資を迷っている方も多いのではないでしょうか。結論から言えば、高配当ETFは決して悪い投資手法ではありません。
しかし、あなたの目的が「資産を爆発的に増やすこと(資産形成)」なのか、それとも「今使える現金を増やすこと(収入目的)」なのかによって、その評価は180度変わります。
本記事では、高配当ETFが「おすすめしにくい」と言われる理由を、値上がり益・為替・税金・業種の偏りといった4つの視点から徹底解剖します。
・高配当ETFがおすすめしないといわれる理由
・高配当ETFが向いている人の特徴
・代替案として考えておくべき商品
そもそも高配当ETFとは?

高配当ETFとは、高い配当利回りの企業を集めた株式にまとめて投資できる上場投資信託です。
少額で分散投資ができ、個別株のように銘柄分析をしなくても安定した分配金を受け取れる点が特徴です。手軽に配当(持っているだけで入るお金)を得たい投資家に人気があります。
高配当ETFの基本的な仕組み
高配当ETFは、配当利回りの高い企業を数十〜数百社集めた「株式の詰め合わせパック」のような商品です。
特定の指数(インデックス)に連動するよう運用されており、証券取引所でリアルタイムに売買できるため、株式投資と同じ手軽さで利用できます。
運用会社は、組み入れた企業から支払われる配当をまとめ、決算期ごとに「分配金」として投資家へ還元します。
個人で多くの優良株を買い揃えるには多額の資金が必要ですが、ETFなら少額から幅広い銘柄に分散投資が可能です。
面倒な銘柄選定や入れ替えも運用会社が自動で行ってくれるため、初心者でも効率よく「持っているだけで入る現金(インカムゲイン)」を狙える仕組みとなっています。
代表的な高配当ETF
高配当ETFには多くの種類がありますが、まずは米国市場で人気の「御三家(VYM・HDV・SPYD)」と、身近な「日本株ETF」を押さえておきましょう。
それぞれ「銘柄数」や「選定基準」が異なるため、利回りだけでなく「リスクの取り方」で選ぶのがポイントです。
| ETF名 | 特徴(構成の傾向) | 運用時のポイント |
|---|---|---|
| VYM | 400銘柄以上に広く分散。安定感抜群。 | 長期で増配と値上がりを両立したい人向け |
| HDV | 財務が健全な優良企業を厳選。 | 不況時の守りを固めたい人向け |
| SPYD | 高利回り80社に絞り込む。不動産・金融が多め。 | 株価の変動を許容し、高い配当を得たい人向け |
| 1478 | 国内の主要な高配当株に投資。 | 為替リスクを避け、日本円で配当が欲しい人向け |
| 2564 | 日本株の中でも特に利回りの高い銘柄で構成。 | 日本株で利回りを追求したい人向け |
インデックスファンドとの違い
インデックスファンド(投資信託)は、運用で得た利益を自動で再投資し、資産を雪だるま式に増やしていく「成長重視(トータルリターン型)」の投資です。
一方、高配当ETFは、利益の一部を「分配金」として定期的に現金で受け取る「収入重視(インカム型)」の投資といえます。
一言で言えば、「将来の大きな資産を作る」のがインデックスファンド、「今使える自由なお金を増やす」のが高配当ETFという目的の違いがあります。
高配当ETFが「おすすめしない」と言われる主な理由

結論から言うと、高配当ETFは「誰にでもおすすめできる投資商品」ではありません。
特に、資産形成期においては注意すべきデメリットが多く存在します。
値上がり益が期待しにくい点や利回りの裏に潜むリスク、課税・為替などの問題から、万能の投資商品ではないと理解しておく必要があります。
理由①値上がり益(売って増える利益)が伸びにくい
高配当ETFは、将来の急成長よりも「現在の安定した利益」を優先する銘柄で構成されます。そのため、市場全体に投資するインデックスファンドや成長株(グロース株)と比較して、株価の上昇幅は小さくなる傾向があります。
理由は、企業の「利益の使い道」にあります。
- 成長企業
利益を設備投資や研究開発に回し、さらに大きな利益と株価上昇を目指す。 - 高配当企業
事業がすでに成熟しており、利益の多くを再投資ではなく「配当」として株主に還元する。
このように、高配当ETFは「株価の値上がり(キャピタルゲイン)」よりも「目先の現金(インカムゲイン)」を優先した設計です。資産を最速で大きくしたい人にとっては、期待外れの結果になる可能性があります。
理由②高利回りほど危険になりやすい
高配当ETFは利回りの高さが魅力ですが、極端に利回りが高い(高すぎる)状態には注意が必要です。
なぜなら、配当利回りは「1株あたりの配当金 ÷ 株価」で計算されるため、「業績悪化で株価が暴落した結果、見かけ上の利回りが上がっているだけ」というケースがあるからです。
こうした銘柄は「配当利回りの罠(配当トラップ)」と呼ばれ、以下のようなリスクを伴います。
- 減配・無配のリスク
-
業績が悪ければ、いずれ配当を維持できなくなり、配当金が減る。
- 株価のさらなる下落
-
減配が発表されると投資家が離れ、さらに株価が下がる。
高配当ETFの中には、機械的に利回りの高い順に銘柄を組み入れるものもあり、市況によってはこうしたリスクの高い銘柄の比率が意図せず高まってしまうことがあります。
「利回りが高い=お得」と安易に判断せず、ETFがどのような基準(財務の健全性など)で銘柄を選別しているかを確認することが重要です。
理由③配当課税で複利効果が削られる
高配当ETFの最大の弱点は、「分配金が出るたびに税金が引かれ、資産が増えるスピードが落ちる」ことです。
投資には、得た利益を再び元本に組み入れて利益が利益を呼ぶ「複利効果」があります。しかし、高配当ETFはこの複利のサイクルを途中で止めてしまいます。
- 無配当の投資信託
-
利益をファンド内でそのまま再投資するため、税金(20%)を引かれずに全額を運用に回せる。
- 高配当ETF
-
分配金が出るたびに約20%の税金が差し引かれる。残った金額を再投資しても、税金の分だけ「元手」が小さくなる。
この「わずかな税金の差」も、10年、20年と長期で運用するほど、最終的な資産額に大きな差となって現れます。効率よく資産を「大きく」したい資産形成期の人にとって、配当金を受け取ることは構造的なデメリットになるのです。
理由④業種の偏り・分散不足だとリスクが大きくなりやすい
高配当ETFは、配当利回りを基準に選定するため、どうしても特定の業種(セクター)に偏りやすい性質があります。
代表的なのは、金融、エネルギー、公益事業、不動産などです。これらは「地味だが配当が多い」業界ですが、逆にハイテク株のような「成長性は高いが配当が少ない」業界はほとんど含まれません。
この偏りにより、以下のようなリスクが生じます。
- 景気敏感リスク
-
金融や不動産が多いETFの場合、景気が悪化したり金利が変動したりすると、ETF全体が市場平均以上に暴落することがあります。
- 分散の「質」の問題
-
たとえ「80銘柄に分散」していても、その大半が金融・不動産関連であれば、実質的には特定の業界と良い結果も悪い結果も、運命を共にすることになってしまいます。
「広く分散して安定させたい」という目的で高配当ETFを買ったのに、実は「特定の業界への集中投資」になっていた、という事態は避けなければなりません。
購入前には、構成銘柄だけでなく「どの業種に何%入っているか」を確認することが不可欠です。
理由⑤米国ETFでは為替リスク・二重課税の問題がある
米国の高配当ETFに投資する場合、為替リスクと「二重課税」の問題は避けて通れません。
まず為替について、円安局面で買うと取得価格が高くなり、将来円高が進むと円換算の資産価値や配当額が目減りするリスクがあります。
次に税金ですが、米国ETFの配当金には米国で10%が源泉徴収され、その後日本でも約20%が課税される「二重課税」の状態になります。
特定口座(課税口座)であれば「外国税額控除」を確定申告することで一部を取り戻せますが、手間がかかるのが難点です。
さらに注意が必要なのは新NISA(成長投資枠)を利用する場合です。NISAでは日本の税金はゼロになりますが、米国で引かれる10%は非課税にならず、確定申告をしても取り戻すことができません。
こうしたコストや為替手数料を考慮すると、表面的な利回りよりも手元に残る「実質利回り」が低くなるケースが多い点に注意が必要です。

つまり、「NISAだからといって完全に税金ゼロにはならない」と覚えておくのが正解です。
理由⑥配当金生活は想像以上に資金が必要になる
「働かずに配当だけで暮らす」という夢には、非常に高い壁があります。なぜなら、私たちが受け取る配当金は「税金」を引かれた後の残りだからです。
月15万円(年間180万円)の生活費をすべて配当で賄おうとした場合、以下の元本が必要になります。
| 配当利回り(税引き前) | 必要な投資額(税引き後・手取りベース) |
|---|---|
| 3% | 約7,500万円 |
| 4% | 約5,600万円 |
| 5% | 約4,500万円 |
※日本国内の税金20.315%を考慮。米国ETFの場合は現地課税でさらに条件が厳しくなります。
高配当ETFが向く人の特徴


「これなら迷わない」早見表
高配当ETFは、配当を収入源として活用したい人や、心理的に安定した運用を続けたい投資家に向いています。
特に、資産の大幅な成長よりも定期的なキャッシュフローを重視する人にとって、シンプルで継続しやすい投資手法として魅力的な選択肢になります。
「これなら迷わない!」早見表
無分配インデックスが基本
高配当ETF(NISA成長枠なら特に)
債券系や現金比率も含め調整
J-REIT・不動産クラウドファンディングも検討
ケース①50~60代で配当を使い始めたい人
50代〜60代になり、老後の生活費や趣味に充てる「現金」が欲しい人にとって、高配当ETFは非常に相性の良いツールです。
この年代は、資産をさらに数倍に増やすことよりも、今ある資産を守りながら「安定したキャッシュフロー(現金収入)」を確保するステージに移行します。
高配当ETFなら、自分で株を売る手間をかけずに、定期的にお小遣いのような感覚で現金を受け取れます。
また、資産運用において精神的に最も辛いのが「資産の取り崩し」です。
インデックス投資では、暴落時でも自分で株を売らなければ現金化できませんが、高配当ETFなら「資産(元本)はそのままに、生み出された果実(配当)だけを収穫する」という形になるため、心理的な安心感が段違いです。
「取り崩し」のストレスがない
資産を売却する痛みを感じずに現金を得られる。
家計の足しにしやすい
年金にプラスαの収入として、生活費や旅行代に直結する。
管理が圧倒的に楽
プロが銘柄を入れ替えてくれるため、年齢を重ねてもメンテナンスが容易。
「目に見える成果」の安心感
暴落時でも配当金という「確かなリターン」が心の支えになる。
ケース②メンタル重視で「目に見える成果」が欲しい人
資産運用で最も避けなければならないのは、暴落時にパニックになって売却してしまう「狼狽売り」です。
インデックス投資は効率的ですが、資産が増えているかどうかは画面上の「評価額」でしか確認できず、下落局面ではただ数字が減るのを眺める忍耐力が求められます。
一方、高配当ETFは、たとえ株価が下がって含み損の状態であっても、定期的に「現金」が口座に振り込まれます。
「株価は下がっているけれど、今月も3万円入ってきた」という実感が心の支えとなり、暴落時でも「今は安く買い増して配当を増やすチャンスだ」とポジティブに考えやすくなります。
このように、目に見える形でリターンを実感したい人にとって、配当金は最強の「投資継続サポーター」になります。
「損をしている感」が和らぐ
現金が手元に入ることで、一時的な下落を許容しやすくなる。
成功体験を積みやすい
資産形成のゴールは遠くても、配当金という「小さな成果」を何度も受け取れる。
投資の目的が明確になる
「評価額を増やす」という抽象的な目標より「月○万円の配当」という目標の方が維持しやすい。
狼狽売りを防げる
下落相場を「配当利回りが上がった買い時」と捉え、冷静な判断を保てる。
ケース③「減配リスク」を織り込んでどっしり構えられる人
高配当ETFは、不況時などに企業の収益が悪化すると、分配金が減る「減配」のリスクが常にあります。
減配が発表されると、配当目的の投資家が売るため株価も大きく下がりやすく、「配当は減り、含み損も膨らむ」という非常に苦しい局面を迎えがちです。
ここで動揺して売ってしまうと、最も損なタイミングで市場を去ることになります。
しかし、ETFは数十〜数百銘柄の集合体です。景気が回復すれば企業業績も戻り、分配金が再び増える(増配)サイクルがやってきます。
こうした「市場の波」を理解し、目先の減配に一喜一憂せず、5年、10年といったスパンで配当の平均値を捉えられる人こそ、高配当投資の真の恩恵を受けられます。
パニック売りを回避できる
一時的な減配を「想定内」と捉え、資産を投げ売りせずに済む。
安値で買い増すチャンスにできる
株価下落を「将来の利回りを高める好機」とポジティブに変換できる。
分散の力を信じられる
個別株なら「無配・倒産」で終わりだが、ETFなら中身が入れ替わり、長期的な回復を待てると理解しているから。
総リターンで考えられる
「配当金+株価」のトータルでプラスになれば良いという、余裕を持った運用ができる。
新NISAとの相性


高配当ETFは、新NISAのどちらの枠を使うかで評価が大きく異なります。
つみたて投資枠では対象商品が厳しく限定されており利用できませんが、成長投資枠では配当の非課税メリットを活かせるため検討の余地があります。
目的に応じて枠を使い分けることが重要です。
つみたて投資枠では高配当ETFは対象外で買える商品はかなり限定される
新NISAの「つみたて投資枠」は、金融庁が厳選した「長期成長向け」の投資信託のみが対象です。結論から言うと、この枠で高配当ETFを買うことは実質的にできません。
つみたて投資枠の対象商品は「分配金を抑えて再投資し、資産を最大化すること」を前提としています。一方、分配金を頻繁に出す高配当ETFは制度の目的と合致しないため、ラインナップから外されています。
資産形成期は、配当を受け取らずにファンド内で自動再投資される商品を選ぶのが鉄則です。そのほうが「課税」によるロスを防ぎ、雪だるま式に資産が増える複利効果を最大限に活かせるからです。
成長投資枠では検討余地がある
新NISAの「成長投資枠」は、幅広い株式やETFが購入できるため、高配当ETFを運用するメインの舞台となります。
最大のメリットは、本来引かれるはずの約20%の配当課税がゼロになることです。これにより、高配当投資の弱点だった「税金による複利効果の低下」を抑え、効率よく分配金を受け取れます。
ただし、米国ETF(VYM等)の場合、米国内での10%課税は非課税にならず、確定申告でも取り戻せない点には注意が必要です。
税効率を最優先するなら、国内の高配当株ETFや、分配金を出すタイプの投資信託も有力な候補になります。
非課税の恩恵
国内20.315%の税金がかからず、手取り額が最大化される。
インカムの確保
「持ち続けるだけで入る現金」を非課税で作れる。
投資の幅が広がる
インデックス投資と組み合わせることで、成長と収入のバランスを調整できる。
二重課税の軽減
国内ETFなら、NISA枠を使うことで税負担を完全にゼロにできる。
高配当ETFを購入するときのリスク管理


高配当ETFは配当収入が魅力である一方、景気後退による株価下落や減配、米国ETFを中心とした為替変動など、複数のリスクを伴います。
こうしたリスクを正しく把握し、状況に応じて適切に対処できる体制を整えることが重要です。長期運用を前提に、冷静な判断が求められます。
減配発生時の判断基準
高配当ETFは数十〜数百の銘柄に分散されているため、特定の1社が減配しても、ETF全体の分配金に与える影響は限定的です。
しかし、景気後退などで「ETF全体」の分配金が減った場合、以下の3つの視点で冷静に状況を判断しましょう。
減配の理由は「一時的」か「構造的」か 単なる景気サイクルによる一時的な業績悪化であれば、保有を続けて回復を待つのが基本です。
しかし、その業界自体が衰退するような構造的な問題(例:化石燃料から再エネへの完全移行など)であれば、見直しが必要です。
「指数」のルールに基づいたリバランス(入れ替え)はあるか ETFの強みは、基準を満たさなくなった銘柄を運用会社が自動で除外してくれることです。
一時的な減配で慌てて売る前に、ETFが銘柄をどう入れ替える方針なのかを確認しましょう。
トータルリターンでマイナスになっていないか 分配金が減っても、株価が上昇していれば総資産は増えているケースもあります。「配当額」という一つの指標に固執せず、資産全体での成績を見ることが重要です。
減配直後は株価が急落しやすいため、焦って売ると「最悪のタイミングでの損切り」になりかねません。長期的な回復の可能性を信じられるか、一歩引いて見極める冷静さが求められます。
景気後退時に起こるダブルパンチのリスク
景気後退局面では、企業の利益が減ることで、高配当企業であっても減配や無配(配当ゼロ)に転じるリスクが急激に高まります。
特に、高配当ETFの主力である「金融・エネルギー・不動産」といった業種は景気の波をダイレクトに受けるため、注意が必要です。
こうした局面では、投資家は以下の「ダブルパンチ」に直面します。
- 株価の急落
-
景気敏感な業種は、市場全体(インデックス)よりも下落幅が大きくなる傾向があります。
- 配当の減少
-
頼みの綱である配当まで減ることで、「評価損を配当で補う」という戦略が崩れます。
また、リスク回避(リスクオフ)のムードが強まると、投資家の資金は安定した債券や現金へ流れます。「利回りが高いから」という理由だけでは買い支えが入らず、株価が底なしに下がるリスクも無視できません。
「ディフェンシブ業種」を混ぜる
景気に左右されにくいヘルスケアや生活必需品を多く含むETF(例:HDVなど)を組み合わせ、業種の偏りを防ぐ。
資産全体の比率を調整する
全資産を高配当株に突っ込むのではなく、現金や債券を一定数持ち、暴落時に「安値で買い増せる余力」を残しておく。
「増配実績」を重視する
過去の不況下でも配当を維持・増額してきた「連続増配銘柄」主体のETF(例:VYMなど)を選ぶ。
為替リスクをコントロールする「3つの鉄則」
米国ETFなどの海外投資では、株価と同じかそれ以上に「為替(円安・円高)」がリターンに直結します。
例えば、株価が変わらなくても、1ドル150円から130円に円高が進むだけで、資産価値も配当額も約13%目減りしてしまいます。 この「為替の波」に振り回されないためには、以下の戦略的な視点が必要です。
一度に大金を投じると、そこが「歴史的な円安(購入コストが最も高い時期)」だった場合、その後のリターンが大きく損なわれます。毎月一定額を積み立てることで、円安の時は少なく、円高の時は多く買うことになり、平均取得単価を安定させることができます。
「為替リスクがどうしても怖い」という場合は、資産のすべてを米国株にするのではなく、日本株の高配当ETF(1478など)をポートフォリオに組み込みましょう。日本円で配当を受け取れる資産を持っておくことで、急激な円高局面でも生活費へのダメージを抑えられます。
円高は資産価値を下げるデメリットだけでなく、**「米国株を安く仕込めるボーナスタイム」**でもあります。円安時に無理に買い進めるのではなく、現金を多めに持っておき、円高局面で計画的に買い増す「心の余裕」が長期的な勝敗を分けます。
時間分散
為替を予測せず、淡々と積み立てを継続する。
通貨分散
米ドル資産だけでなく、円建ての高配当資産も保有する。
出口戦略
配当を日本円で使う予定があるなら、極端な円安局面での一括購入は避ける。
代替案として検討すべき商品


高配当ETFのリスクが気になる場合、資産形成の目的に応じた代替商品を検討することが重要です。
無分配ファンドや債券商品、不動産関連投資は、リスク特性や収益の得られ方が異なるため、組み合わせることで安定性や成長性を補完できます。
投資目的に合う商品を見極めることが鍵となります。
代替①資産を最速で増やすなら「無配分型」が王道
「今は現金が必要ない」「将来のために1円でも多く資産を増やしたい」という方にとって、無分配(配当再投資型)が主流のインデックスファンドは最も合理的な選択肢です。
最大の特徴は、運用で得た利益を投資家へ渡さず、そのまま次の投資へ回す仕組みにあります。
これにより、利益に対する課税(約20%)を売却時まで先送りでき、本来税金として消えるはずだったお金も「味方」につけて複利効果を最大化できます。
また、全世界や全米といった市場全体をまるごと買い付けるため、特定の企業の業績や「減配」といった個別のニュースに一喜一憂する必要もありません。
日々のキャッシュフロー(現金収入)こそ生まれませんが、「資産形成のスピード」においては他の追随を許さない圧倒的な効率性を誇ります。
無分配インデックスファンドの比較まとめ
| 商品タイプ | メリット | デメリット |
|---|---|---|
| 無分配インデックスファンド | ・税効率が最高(課税の繰り延べ) ・複利パワーをフル活用できる ・管理の手間が一切かからない | ・売却するまで現金が手に入らない ・運用中の「得している実感」が薄い |
| 高配当ETF | ・定期的に現金(分配金)が入る ・暴落時もメンタルを維持しやすい | ・分配のたびに課税され、複利が鈍る ・成長株が含まれず、上昇幅が限定的 |
代替②安定感を高める「債券投信・社債ETF」という選択肢
「配当収入は欲しいけれど、株価の激しい値動きは避けたい」という方にとって、債券投信や社債ETFは有力なサブ候補になります。
債券は、国や企業にお金を貸し出し、その見返りに「利息」を受け取る仕組みです。
株式に比べて価格の変動が穏やかで、特に格付けの高い企業が発行する「投資適格社債ETF」は、市場が荒れている局面でも資産を守るクッションの役割を果たします。
ただし、「金利が上がると、債券の価格は下がる」という逆相関の性質がある点には注意が必要です。
それでも、株式とは異なる動きをすることが多いため、高配当ETFと組み合わせることで、ポートフォリオ全体の安定感を格段に高めることができます。
債券・社債ETFの比較まとめ
| 商品タイプ | メリット | デメリット |
|---|---|---|
| 債券・社債ETF | ・株式に比べて値動きがゆるやか ・定期的な利息収入が見込める ・株暴落時の下落抑制効果がある | ・金利上昇局面で価格が下落する ・株式ほどの大きな値上がりは期待できない |
| 高配当ETF | ・高い分配金と、ある程度の株価上昇を狙える | ・景気後退時の下落幅が大きく、減配リスクもある |
代替③家賃収入を味方につける「不動産投資」という選択肢
「企業業績に左右される株式の配当だけでなく、より安定した『家賃収入』のような利益が欲しい」という場合、J-REITや不動産クラウドファンディングが有力な候補となります。
J-REIT(不動産投資信託)は、多くの投資家から集めた資金でオフィスビルやマンションを運用し、得られた賃料収入を分配する仕組みです。法人税が免除される仕組みがあるため、一般的な株式よりも高い分配金が期待できます。
ただし、証券市場で売買されるため、金利上昇や景気悪化時には株と同じように価格が大きく下落するリスクがあります。
一方、不動産クラウドファンディングは、特定の物件に対して直接少額投資を行う仕組みです。J-REITほど手軽に売却(換金)はできませんが、市場の値動きに直接左右されにくいため、資産の評価額を安定させたい人に向いています。
不動産関連投資の比較まとめ
| 商品タイプ | メリット | デメリット |
|---|---|---|
| J-REIT | ・配当利回りが比較的高め ・証券口座でいつでも売買できる ・新NISA(成長投資枠)でも購入可能 | ・金利の上昇に弱い ・株式市場全体の暴落に巻き込まれやすい |
| 不動産クラウドファンディング | ・市場の値動きの影響を受けにくい ・1万円などの少額から物件を選べる | ・途中で解約(換金)できない期間がある ・運営会社の破綻リスク(事業者リスク)がある |


まとめ


高配当ETFは、定期的な現金収入(インカム)を得ながら投資を楽しめる非常に魅力的な商品です。しかし、ここまで見てきた通り「成長の鈍化」「減配」「為替」といったリスクも併せ持っています。
新NISAの「成長投資枠」を賢く活用し、インデックスファンドや債券など他の商品と組み合わせることで、リスクを抑えながら「今も将来も豊かになる」運用が実現できます。
大切なのは、市場の流行に流されず、自分のライフステージや性格に合ったスタイルを選ぶことです。
「配当金で生活を少し豊かにしたいのか」「将来のために資産を最大化したいのか」を改めて問い直し、無理なく続けられる歩みで未来の資産を育てていきましょう。
高配当ETFに関するよくある質問






穴吹興産株式会社 不動産ソリューション事業部
アセットマネジメントグループ課長 穴吹 章彦
【資格】
・宅地建物取引士
・不動産証券化協会認定マスター
【経歴】
ソリューション事業部の業務に7年従事し、投資用不動産のアセットマネジメント業務を経験。現在は不動産特定共同事業におけるファンドの組成業務に従事し、投資家との契約業務全般を担当。不動産クラウドファンディングの仕組みや専門用語を解説しながら、情報発信を行っている。








