不動産クラウドファンディングが「やめとけ」といわれる理由は?デメリットと失敗を防ぐための方法を解説

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不動産クラウドファンディングは、少額から行える不動産投資の方法です。最近注目が集まっているものの、「やめとけ」といわれるケースがあります。

ネガティブな声があるのは事実ですが、どの投資手法にもメリットとデメリットがあります。きちんと特徴を理解した上で、自分に合っている方法かどうかを判断しましょう。

この記事では、不動産クラウドファンディングが「やめとけ」といわれる理由から、リスクを抑える方法まで詳しく解説していきます。

この記事を読むと分かること
  • 不動産クラウドファンディングがおすすめな人の特徴
  • 不動産クラウドファンディングでリスクを抑える方法
目次

不動産クラウドファンディングが「やめとけ」といわれる主な理由

不動産クラウドファンディングに対して否定的な意見が出るのには、いくつかの理由があります。投資を検討する前に、これらのデメリットをしっかりと把握しておきましょう。

元本割れリスクがある

不動産クラウドファンディングは元本保証がない投資商品です。投資した元本が目減りする可能性があります。

不動産市況の悪化や物件の空室率上昇などにより、想定していた収益が得られない場合があります。特に景気の悪化や地価の下落が起こると、投資元本を下回る償還になる可能性も否定できません。

実際に、過去には不動産価格の下落により元本割れした案件も存在しています。投資する際は、この元本割れリスクを十分に理解しておかなければなりません。

事業者の信頼性が怪しいケースがある

不動産クラウドファンディングの運営会社の中には、信頼性に疑問符がつく事業者もあります。業歴が浅い会社や財務基盤が不安定な事業者が存在するためです。

運営会社が倒産した場合、投資資金の回収が困難になるおそれがあります。また、物件の運営管理が適切に行われず、収益が悪化するケースも考えられます。

事業者選びは投資成功の重要な要素です。行政機関への許認可状況や過去の実績、財務状況などを事前にしっかりと確認する必要があります。

流動性が低い

不動産クラウドファンディングは、投資期間中の途中解約が原則としてできません。この流動性の低さが「やめとけ」といわれる大きな理由の一つです。

株式投資であれば市場が開いている時間帯はいつでも売却できます。しかし不動産クラウドファンディングでは、運用期間が1~5年程度に設定されており、この期間中は資金を引き出せません。

急に現金が必要になった場合でも、投資資金を現金化できないのは大きなデメリットです。生活資金や緊急時の備えとは別に、余剰資金での投資が必須です。

情報が不透明なケースがある

一部の不動産クラウドファンディングでは、投資対象物件の詳細情報が十分に開示されていません。物件の所在地や築年数、周辺環境などの具体的な情報が限られている場合があります。

情報の透明性が低いと、投資判断を適切に行うのが困難になります。物件の収益性やリスクを正確に把握できず、想定外の損失を被る可能性が高まります。

投資する前には、可能な限り多くの情報を収集し、リスクを十分に検討しましょう。情報開示が不十分な案件への投資は避けるべきです。

税制上で不利になりやすい

不動産クラウドファンディングの分配金は、雑所得として総合課税の対象になります。株式投資の配当所得のような分離課税は適用されません。

雑所得はほかの所得と合算して税率が決まるため、所得が高い人ほど税負担が重くなります。最高税率は、所得税45%と住民税10%を合わせて55%にもなります。

また、株式投資のようなNISA(少額投資非課税制度)の対象外です。税制面での優遇措置が受けられないため、手取り収益が想定より少なくなる可能性があります。

想定よりも利回りが低いケースがある

不動産クラウドファンディングでは、想定利回りが表示されていますが、実際の分配金がこの数値を下回るケースがあります。

物件の空室発生や修繕費の増加、管理費の上昇などにより、実際の収益が想定を下回る場合があります。

想定利回りはあくまで予測値であり、保証されたものではありません。実際の運用では、さまざまな要因により収益が変動するリスクがある点を押さえておきましょう。

どの投資手法にも「リスク」や「デメリット」はつきもの

不動産クラウドファンディングに限らず、すべての投資手法にはリスクやデメリットが存在します。重要なのは、これらを正しく理解した上で投資判断を行うことです。

例えば、株式投資には価格変動リスクがあり、債券投資には金利変動リスクや信用リスクがあります。

預金にさえインフレリスクが存在し、物価上昇により実質的な価値が目減りする可能性があります。

リスクを恐れて何も行動しなければ、資産形成の機会を逃してしまいます。大切なのは、自分のリスク許容度に合った投資手法を選択し、適切なリスク管理を行うことです。

不動産クラウドファンディングも、特徴を理解して適切に活用すれば、資産形成に有効な手段となり得ます。

不動産クラウドファンディングが注目される理由

「やめとけ」という声がある一方で、不動産クラウドファンディングが注目されているのには明確な理由があります。従来の不動産投資にはない魅力的な特徴があるためです。

1万円から不動産投資を始められる

不動産クラウドファンディング大きなの魅力は、少額から不動産投資を始められる点です。多くのサービスで1万円から投資可能となっています。

従来の不動産投資では、物件購入に数百万円から数千万円の資金が必要です。頭金だけでも数十万円から数百万円が必要で、多くの人にとって高いハードルとなっていました。

しかし、不動産クラウドファンディングなら、月々の貯蓄額程度から不動産投資を体験できます。投資初心者でも手軽に始められるのは大きなメリットです。

プロに物件選定や運用を任せられる

不動産クラウドファンディングでは、プロの運営会社が物件選定から運用まで行います。投資家は専門知識がなくても、不動産投資に参加できる点がメリットの一つです。

物件の立地調査・収支シミュレーション・入居者募集・建物管理など、不動産投資に必要な業務をすべて専門家に委託できます。個人では困難な詳細な市場調査や法的手続きもプロが担当します。

初心者にとって難易度の高い物件選定も、経験豊富なプロに任せられるため、失敗リスクを軽減できるのです。

専門知識が不要で投資家は手間がかからない

従来の不動産投資では、物件の目利きや法的知識、税務知識など幅広い専門知識が求められます。また、入居者対応や設備修繕などの管理業務も投資家の負担といえるでしょう。

不動産クラウドファンディングなら、これらの専門知識や管理業務は一切不要です。投資家は資金を提供するだけで、後は分配金を受け取るだけの簡単な仕組みです。

本業が忙しいサラリーマンでも、手間をかけずに不動産投資を行えます。時間的制約があっても資産形成に取り組むことが可能です。

手軽に分散投資できる

不動産クラウドファンディングでは、複数の物件や地域に少額ずつ投資することで、簡単に分散投資が実現できます。

従来の不動産投資では、分散投資には多額の資金が必要です。しかし、クラウドファンディングなら東京のオフィスビルや大阪のマンション、地方の商業施設など、さまざまなタイプの物件に同時投資できます。

分散投資により、特定の物件や地域に集中するリスクを軽減できます。一つの投資先で損失が発生しても、ほかの投資先でカバーできる点は、クラウドファンディングのメリットです。

地理的制約がない

インターネット上で投資手続きが完結するため、全国どこからでも投資できます。地方在住者でも東京や大阪などの都市部の優良物件に投資可能です。

従来の不動産投資では、基本的には物件の現地確認が重要です。

しかし、クラウドファンディングでは運営会社が詳細な物件情報を提供するため、遠方の物件でも安心して投資できます。居住地域に左右されずに投資機会を得られるのは、大きなメリットといえるでしょう。

不動産クラウドファンディングがおすすめな人

不動産クラウドファンディングは、すべての人に適した投資手法ではありません。しかし、特定の条件に当てはまる人には非常に有効な投資手段となります。

少額から不動産投資を始めたい人

投資資金が限られている人や、まずは少額から不動産投資を体験してみたい人に最適です。1万円程度の小額から始められるため、投資初心者でもリスクを抑えて挑戦できます。

若年層や投資を始めたばかりの人は、まとまった資金を用意するのが困難な場合があります。不動産クラウドファンディングなら、月々の余剰資金を活用して徐々に投資額を増やすことも可能です。

投資経験を積みながら、将来的により大きな不動産投資に挑戦する準備段階としても活用できます。

忙しくて不動産投資に時間をかけられない人

本業が忙しく、不動産投資の勉強や管理に時間を割けない人におすすめです。投資判断から運用まですべて専門家に任せられるため、時間的制約がある人でも参加できます。

サラリーマンや子育て中の主婦など、限られた時間の中で資産形成を図りたい人に適しています。投資後は分配金の振り込みを待つだけで、特別な手続きは必要ありません。

副業として不動産投資を考えているが、本格的な管理業務は避けたい人にも向いています。

分散投資を重視したい人

リスク分散を重視し、さまざまな資産クラスに投資したい人に適しています。株式や債券だけでなく、不動産にも分散投資することで、ポートフォリオのバランスを改善できるためです。

不動産は株式と異なる値動きをする傾向があるため、分散効果が期待できます。経済情勢の変化に対してより安定したリターンを目指せます。投資の基本である分散投資を実践したい人には、魅力的な選択肢となるでしょう。

中長期的な資産形成を考えている人

短期的な利益よりも、中長期的な資産形成を目指している人に向いています。運用期間が1~5年程度と決まっているため、計画的な資産形成に活用できます。

例えば、老後資金の準備や子どもの教育費の積立など、将来の目標に向けた資産形成に取り組んでいる人におすすめです。定期的な分配金により、着実に資産を増やせる可能性があるため、長期的な視点で投資に取り組める人と好相性です。

さまざまなエリアの不動産に投資したい人

不動産クラウドファンディングでは、居住地域に関係なく、さまざまなエリアの物件に投資できます。そのため、全国各地の不動産に投資したい人に適しています。

地方在住者でも都市部の収益性の高い物件に投資でき、反対に都市部在住者でも地方の利回りの高い物件に投資できる点は不動産クラウドファンディングのメリットです。

地域分散によりリスクを軽減しつつ、各地域の特性を生かした投資が可能になります。

不動産クラウドファンディングがおすすめできない人

不動産クラウドファンディングが適さない人もいます。投資スタイルや目標によっては、ほかの投資手法を選択したほうがよいでしょう。

流動性を重視する人

いつでも資金を現金化できる流動性を重視する人に、不動産クラウドファンディングは向いていません。運用期間中の途中解約は原則としてできないため、資金が拘束されます。

例えば、急な資金需要に対応したい人や、市況に応じて機動的に投資判断を変更したい人には不向きです。短期的な投資機会を重視する人は、より流動性の高い投資商品を選択すべきでしょう。

いつでも現金化したい人

緊急時の備えとして投資を考えている人や、近い将来に資金使用の予定がある人には適していません。運用期間中は資金を引き出せないためです。

生活防衛資金や近々使用予定のある資金での投資は避けるべきです。あくまでも、余剰資金での投資にとどめておく必要があります。

資金の使用時期が決まっている人は、その時期に合わせた運用期間の商品を選ぶか、ほかの投資手法を検討しましょう。

元本保証を求める人

投資元本の保証を求める人には向いていません。不動産クラウドファンディングは元本保証のない投資商品です。

リスクを一切取りたくない人は、預金や国債などの元本保証がある商品を選択すべきです。ただし、これらの商品は利回りが低く、インフレリスクがある点は理解しておきましょう。

物件の選定から管理まで自身で行いたい人

不動産投資の醍醐味である物件選定や管理業務を自分で行いたい人にとっては、不動産クラウドファンディングは物足りない可能性があります。すべての業務を運営会社に委託するため、投資家の裁量の余地が少なくなります。

不動産投資の専門知識を生かしたい人や、より高いリターンを追求したい人には向いていません。自分の判断で投資を行いたい人は、現物不動産投資を検討すべきでしょう。

レバレッジを効かせたい人

不動産クラウドファンディングでは、借入を活用したレバレッジ投資ができません。投資資金はすべて自己資金で賄う必要があります。

そのため、より高いリターンを求めてレバレッジを活用したい人には向いていません。現物不動産投資では不動産投資ローンを活用できますが、クラウドファンディングではこの仕組みがないのです。

積極的な投資スタイルを好む人は、ほかの投資手法を検討したほうがよいでしょう。

不動産クラウドファンディングでリスクを抑える方法

不動産クラウドファンディングのリスクを理解した上で、これらのリスクを可能な限り抑える方法があります。適切なリスク管理により、失敗する確率を大幅に下げられます。

信頼できる事業者を選ぶ

もっとも重要なのは、信頼できる運営事業者を選択することです。不動産クラウドファンディングでは、事業者の信頼性が投資成功の鍵を握っています。

行政機関への許認可状況や業歴、過去の運用実績を必ず確認しましょう。上場企業や大手不動産会社が運営するサービスは、相対的に信頼性が高いといえます。

財務状況の開示や第三者機関による監査の有無も、重要な判断材料です。透明性の高い事業者を選択することで、安心して投資と向き合えるでしょう。

投資対象と条件を確認する

投資する前に、物件の詳細情報や投資条件を十分に確認しましょう。具体的には、立地や築年数、周辺環境、想定利回りの根拠などをチェックします。

特に注意すべきは、想定利回りの算出根拠です。楽観的な前提に基づいていないか、市場相場と比較して妥当な水準かを検討します。

運用期間や分配方法、手数料なども事前に確認し、自分の投資目標に合致するかを判断しましょう。

必ず余剰資金で投資をする

生活資金や緊急時の備えとは別の余剰資金で投資することが重要です。最悪の場合、投資資金をすべて失っても生活に支障がない範囲にとどめましょう。

一般的には、総資産の5~10%程度にとどめておくことが推奨されます。投資に慣れていない人は、より少ない割合から始めることをおすすめします。

不動産以外の資産にも投資する

不動産クラウドファンディングだけに集中投資するのではなく、株式や債券などほかの資産クラスにも分散投資しましょう。

分散投資により、特定の資産クラスが大きく下落した場合でも、全体への影響を抑えられます。投資の基本である分散投資を徹底することも大切です。

まとめ

不動産クラウドファンディングが「やめとけ」といわれる理由には、元本割れリスクや流動性の低さ、事業者の信頼性などがあります。しかし、これらのデメリットを理解した上で適切に活用すれば、有効な投資手段となり得ます。

少額から始められる手軽さや専門知識不要という特徴は、投資初心者にとって大きなメリットです。プロに運用を任せられるため、忙しい人でも不動産投資に参加できます。

投資にはリスクが伴いますが、リスクを恐れて何もしなければ資産形成の機会を逃してしまいます。不動産クラウドファンディングの特徴を正しく理解し、自分に合った投資判断を行いましょう。

よくある質問

不動産クラウドファンディングは本当に危険なのですか?

危険というよりも、元本保証がなく、流動性が低いなどのリスクがあるため「やめとけ」と言われることがあります。ただし、リスクを理解し、余剰資金で投資すれば、大きな問題にはなりにくい投資手法です。

投資する際に最も注意すべき点は何ですか?

大きなのポイントは「信頼できる事業者を選ぶこと」です。許認可の有無、財務状況、過去の実績の透明性を確認して事業者を見極めることが、失敗を防ぐ鍵となります。

どれくらいの利回りが期待できますか?

案件によりますが、一般的に年利3〜7%程度が多いです。ただし、想定利回りは保証されたものではなく、実際には空室や修繕費などで下振れする可能性があります。

投資額は最低いくらから始められますか?

多くの不動産クラウドファンディングは1万円から始められます。まとまった資金が必要な現物不動産投資に比べ、ハードルが低く初心者でも参入しやすいのが特徴です。

途中で現金化したくなった場合はどうすればいいですか?

原則として運用期間中の途中解約はできません。そのため、急な出費に備えた生活資金や短期的に必要な資金は使わず、必ず余剰資金で投資することが重要です。

【監修】

穴吹興産株式会社  不動産ソリューション事業部
アセットマネジメントグループ課長  穴吹 章彦

【資格】
・宅地建物取引士
・不動産証券化協会認定マスター

【経歴】
ソリューション事業部の業務に7年従事し、投資用不動産のアセットマネジメント業務を経験。現在は不動産特定共同事業におけるファンドの組成業務に従事し、投資家との契約業務全般を担当。不動産クラウドファンディングの仕組みや専門用語を解説しながら、情報発信を行っている。

 

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