不動産クラウドファンディングは、不動産の現物出資や金融商品の投資と比べてまだまだ知られていない部分も多く、人によっては漠然と「リスクが大きいのでは」と考えらえるかもしれません。本記事では、不動産クラウドファンディングのリスクの少なさ、活用のメリットなどを解説します。不動産クラウドファンディングの成功事例も紹介していますので、ぜひ参考にしてください。
不動産クラウドファンディングは比較的リスクの少ない投資方法
不動産クラウドファンディングは投資の中では比較的知名度が低いことから、何となく「リスクが高いのではないか」と考える人が多いかもしれません。実際に不動産クラウドファンディングを行っている人からは「リスクが少ない」という意見が多く集まっています。
そこで不動産クラウドファンディングに関するさまざまな調査データから、不動産クラウドファンディングはリスクが少ないと言えるポイントを具体的に紹介します。
「リターンを得ることができた」「リスク分散できた」という声が多数
配当型クラウドファンディングを運営するWeCapital株式会社が実施した「不動産クラウドファンディングの認知・意識」という調査(※1)によると、不動産クラウドファンディング経験者のうち「理想通りリターンを得ることができた」と答えた回答者は25.6%、「ある程度リターンを得ることができた」と答えた回答者は51.1%となりました。不動産クラウドファンディングによって、76.7%の人が実際にリターンを得たことが分かります。
さらに不動産クラウドファンディングを始めるきっかけとして、32.2%の「資金運用」、27.8%の「老後資金を稼ぐため」に続き、20.0%の人が「不動産投資のリスク分散のため」と回答しました。他の不動産投資やクラウドファンディングと比較し、リスクを分散できるところに魅力を感じて不動産クラウドファンディングを始めた人が多いことも分かります。
※1 出典:WeCapital株式会社「【調査レポート】不動産クラウドファンディング利用者が思うメリットは、『リスク分散』『小口投資』『高い利回りが期待できる』という回答が9割以上」
リスクの少ない「小口投資」として選択する人も
不動産クラウドファンディングと他の投資方法・クラウドファンディングを比較したメリットについては、「リスク分散」の38.9%、「小口投資」の27.8%、「比較的高い利回りが期待できる」の25.5%の回答が続きました。
リスクが分散できることに加えて、リスクの少ない小口投資ができる投資として、不動産クラウドファンディングを選んでいる人が多いとも言えるでしょう。
一方で「不動産クラウドファンディング」自体を知らない人もまだまだ多い
一方で、不動産クラウドファンディング未経験者を含めた回答者からは、「不動産クラウドファンディングはリスクが高いと思う」という回答が47.5%を占めました。全体の回答者の内、「今まで不動産クラウドファンディングを利用したことはない・知らない」と回答した人は62.5%を占め、不動産クラウドファンディングの認知度が他の投資方法よりも低いことで、情報が少ないことからリスクがあるイメージを持つ人が多いとも言えます。
不動産クラウドファンディングで考えられる具体的なリスク
不動産クラウドファンディング経験者からは「リスクが少ない」といった意見があるものの、不動産クラウドファンディングはまったくリスクのない投資方法というわけではありません。
不動産クラウドファンディングで発生する可能性のある、おもなリスクを順に解説します。
元本割れも起こり得る
不動産クラウドファンディングでは、実際の投資額よりも利益が下回り、赤字になる元本割れのリスクがあります。前述の調査「不動産クラウドファンディングの認知・意識」でも、不動産クラウドファンディングのリスクとして「元本保証がない」と答えた人が28.7%を占めました。
倒産リスクが少ないなど、信頼できるクラウドファンディング元を選ぶことである程度元本割れのリスク回避は可能です。
自分で売買タイミングを判断できるわけではない
不動産クラウドファンディングは、投資家側が一方的に中途解約できません。現物投資と同じく利益が出ればすぐに売却・購入のように自分で柔軟に売買のタイミングを判断できないというデメリットがあります。利益は出ている段階であったとしても即換金ができないため、利益を最大化できないリスクが発生します。
レバレッジをかけることはできない
レバレッジとは、借入(リスク)を増やすことで利益(リターン)を増やす投資方法です。リスクを大きくする分返ってくるリターンも大きくなります。不動産投資では金融機関から融資を受けて自己資金以上の投資をするといったレバレッジが可能です。不動産クラウドファンディングでは、レバレッジをかけることができません。
レバレッジは徹底した資金管理が求められるものの、大きなリターンを狙える可能性もあります。不動産クラウドファンディングでは不動産投資のようなレバレッジをかけた取引はできないことを覚えておきましょう。
不動産クラウドファンディングは投資計画に応じて「匿名組合方式」と「任意組合方式」を選べる
不動産クラウドファンディングには、「匿名組合方式」型と「任意組合方式」型の2種類の出資方法があります。出資方法によって不動産物件の取り扱いや投資家の責任範囲などが異なります。
それぞれの出資方法の特徴やメリット、デメリットを順に解説します。
投資者の責任範囲を抑えられ、手間もかからない「匿名組合方式」
匿名組合方式とは、投資家と不動産クラウドファンディング事業者が匿名組合契約を結んで不動産運用を行う方式です。投資家は現物の不動産ではなく、クラウドファンディング事業者が運用するプロジェクトに対して投資を行います。そのため投資家は物件の運用に関与せず、投資した実際の物件も所有しません。プロジェクトに対する出資の見返りとして、収益が分配されます。
プロジェクト自体は短いものが多く、不動産クラウドファンディングでは、匿名組合方式が出資形式として採用されることが多めとなっています。匿名組合方式で得た収益は、雑所得扱いとなります。
匿名組合方式のメリットとしては、投資家の責任範囲が有限となるという点があります。投資家の責任範囲は、出資額が限度となります。たとえば何らかの理由で投資家が債務を背負うことになったとしても、出資額以上となることはありません。出資額以上の損失は出ないという点は大きなメリットと言えるでしょう。また、運用は不動産クラウドファンディング事業者が行うため、投資家が運用期間中に投資に関する負担や手間を背負いにくいというメリットもあります。
匿名組合方式は少額から投資ができる一方で、リターンも任意組合方式ほど大きくはなりにくいというデメリットがあります。また後ほど解説しますが、任意組合方式で得られる節税面でのメリットも得られません。
運用に関与しつつ大きなリターンが期待できる「任意組合方式」
任意組合方式とは、複数の投資家の間で任意組合契約を締結して出資を行う方式です。投資家の間で不動産を共同で所有することになり、さらに投資家の中には不動産クラウドファンディング事業者も含まれます。投資家と不動産クラウドファンディング事業者が所有した不動産を共同で運用し、得られた利益が組合契約者(組合員)へ分配されます。
任意組合方式では、投資家は不動産物件の共同所有者のうちの一人となります。そのため、投資によって得た分配金は不動産所得に該当するのが特徴です。物件の運用期間は長期になることがほとんどで、出資額も高額になる傾向にあります。出資額が高額であることで、匿名組合方式の不動産クラウドファンディングよりも、大きなリターンが期待できるでしょう。
任意組合方式での投資用物件で得た利益収入は不動産利益に該当しますが、相続税評価額は時価よりも低くなります。そのため、相続税や贈与税を抑えられるといった節税効果が見込めるでしょう。
任意組合方式でのデメリットは、投資家の責任範囲が無限責任であることです。無限責任とは、債務に対する支払い義務が無制限であることを指します。任意組合方式で所有する物件の運用で損失が発生した場合、投資家は出資の割合に応じて無制限で責任を追うため、出資した金額以上の債務を背負うリスクがあります。
また、不動産クラウドファンディング事業者へ運用を一任できる匿名組合方式と異なり、任意組合方式では物件を共同で所有することになるため、自分自身で運用をするか、他の投資家に運用を委任しなければいけません。自分で運用する場合には運用の負担や手間が発生します。他の投資家に運用を委任する場合、まったく自分と接点のない他人に運用を任せて良いかどうか不安になる人も多いでしょう。
リターンが大きい分、リスクも大きいのが任意組合方式の特徴です。
リスクを踏まえてでも不動産クラウドファンディングが選ばれる理由
リスクが発生する可能性があるものの、不動産クラウドファンディングは多くの人に注目されている、特に近年人気が高まっている投資方法です。不動産クラウドファンディングが多くの人に選ばれる理由を順に解説します。
少額から不動産投資に関われる
不動産クラウドファンディングの投資金額は1万円からでも可能です。不動産投資に興味があるものの、資金を用意できないという人でも不動産クラウドファンディングなら選択肢となります。
分配される利益も少額にとどまるものの、その分リスクも少なくなるため初めての投資にも向いています。
運用を事業者に任せながら手間負担なく利益を得やすい
一般的な不動産クラウドファンディングで採用されている匿名組合方式の場合、実際の不動産物件を所有することがないため物件を管理する必要がありません。運用もクラウドファンディング事業者に一任できます。管理や運用といった負担や手間なく、プロジェクトに投資を行うだけで利益を得られます。
不動産クラウドファンディング業界自体が拡大傾向にある
不動産クラウドファンディング業界自体が拡大傾向にあり、人気や注目度も高まっている投資方法です。背景には不動産特定共同事業法の改正や、国交省による、ガイドラインを設けての不動産クラウドファンディングの推進などがあります。
国土交通省の「不動産特定共同事業(FTK)の利活用促進ハンドブック」(※2)では、令和4年の不動産特定共同事業(FTK)のクラウドファンディングの件数・出資額が前年の出資額の約2.61倍、件数は約1.85倍であると公表されています。不動産特定共同事業法改定後に、市場での不動産クラウドファンディングの実績は急拡大していることが分かります。
※2 出典:国土交通省「不動産特定共同事業(FTK)の利活用促進ハンドブック」
不動産クラウドファンディング事業の成功事例
不動産クラウドファンディングは自己資産を増やすための投資の一種であると同時に、不動産投資とクラウドファンディング両面の性質から見ると、まちづくりや公共事業といった社会面に投資者として貢献できるといったメリットもあります。
ここでは事業者側から見た、不動産クラウドファンディングの成功事例を解説します。
難しい資金調達をクリアし、まちづくり意識の醸成・関係人口増加へ
不動産クラウドファンディングによってまちづくりや開発資金の調達問題を解決した事例も多くあります。
北海道札幌市に本社を置く株式会社輝では、不動産特定共同事業者とマネジメント株式会社と連携し、サービス付き高齢者向け住宅の新規開設資金調達に成功しています。サービス付き高齢者向け住宅を地域に欠かせないインフラと位置付けることで、市民から2億6,000万円の地域資金を募ることにつながりました。
学校法人が不動産クラウドファンディングを活用し新規学科の新設計画を推進
10億円以下の小規模投資は、投資家からはリターンが少ないという理由で消極的になられる傾向にあります。一方不動産クラウドファンディングは小口投資を数千人単位から集めることができるのがメリットです。小口投資ができる利点を活かし、学校法人の新規学科新設に不動産クラウドファンディングが活用された事例があります。
沖縄県宜野湾市の医療系・美容系専門学校「SOLA沖縄学園」(運営者:学校法人SOLA学園)では、新規学科新設のために所有していた1号館校舎の売却と、売却後の校舎から家賃を取って貸すセールアンドリースバック取引の利用を計画します。同学園の投資対象としての認知度が低いことで1号館校舎の売却が進まない中で、不動産クラウドファンディングの活用により校舎売却を実現します。有利子負債の削減などにも成功し、新規学科の新設計画の推進につなげられました。
少ないリスクで安定した利回りが期待できる不動産クラウドファンディング
不動産クラウドファンディングはリスクが少なく、運用や管理の手間が少ない投資方式です。不動産クラウドファンディングの認知度や理解向上を受けて、この先の業界も拡大が期待されています。リスクもリターンも少ない小規模投資のプロジェクトなら、初めての投資にも向いています。ぜひリスクの少ない投資を検討しているなら、不動産クラウドファンディングに注目してみましょう。
穴吹興産株式会社の運用する不動産特定共同事業特化型クラウドファンディング「ジョイントアルファ」では、リスクを極限まで抑えた「優先劣後出資」方式の商品含め、幅広い不動産クラウドファンディングのプロジェクトを取り扱っています。ぜひ以下リンクからサービス内容やファンド一覧をご確認、ご検討ください。