不動産投資で発生するランニングコストとは?シミュレーション例やコストを抑える方法を解説

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不動産投資を始めるなら、物件購入後に発生する「ランニングコスト」の把握が欠かせません。固定資産税や管理費、修繕費など、想定外の出費で収支が赤字になるケースも少なくないからです。

本記事では、不動産投資のランニングコストを「年1回・毎月・都度」の発生頻度別に整理し、それぞれの目安金額や計算方法を詳しく解説します。

さらに、コストを抑える具体的な方法や、管理の手間を省きたい方向けに不動産クラウドファンディングとの比較も紹介します。

この記事を読むとわかること
  • 不動産投資で発生するランニングコスト項目について
  • ランニングコストの計算例
  • ランニングコストを抑える方法について
目次

不動産投資で年1回発生するランニングコスト

電卓とメモとペンと家

不動産投資では、毎年決まった時期に必ず支払う必要がある費用があります。これらは一度にまとまった金額が必要になるため、事前に資金を準備しておくことが重要です。

年1回発生する主なコストは、固定資産税・都市計画税、火災保険料・地震保険料、所得税・住民税の3種類です。いずれも不動産を所有し続ける限り、毎年継続的に発生します。

固定資産税・都市計画税

固定資産税は、土地や建物を所有している人に課される税金です。毎年1月1日時点で不動産を所有している人に納税義務が発生し、年4回に分けて納付します。

計算方法は「固定資産税評価額×税率1.4%」です。固定資産税評価額は市区町村が決定する価格で、一般的には物件の購入価格の60%程度になります。

都市計画税は、市街化区域内の不動産に課される税金です。計算方法は「固定資産税評価額×制限税率0.3%」で、制限税率は0.3%を上限として自治体ごとに異なります。

ただし、住宅用地には軽減措置が適用されます。小規模住宅用地(200m2以下)の場合、固定資産税の課税標準は通常の1/6に、都市計画税は1/3に軽減されます。

火災保険料・地震保険料

火災保険は、火災だけでなく落雷・風災・水災など、さまざまな災害による損害を補償する保険です。不動産投資を行う上で、物件の資産価値を守るために重要な役割を果たします。

保険料は、建物の構造・所在地・補償内容によって異なります。耐火性の高い鉄筋コンクリート造は保険料が安く、木造建築は高くなる傾向があります。

アパートやマンション1棟の場合、年間5万~15万円程度が相場です。

地震保険は、火災保険に付帯して加入する保険です。地震・噴火・津波による損害を補償します。地震保険料は、建物の構造や所在地によって決まり、どの保険会社で契約しても保険料は同じです。

所得税・住民税

不動産投資で得られる家賃収入は「不動産所得」として課税対象になります。サラリーマンの場合は、給与所得と不動産所得を合算して所得税と住民税が計算される仕組みです。

不動産所得は「家賃収入-必要経費」で計算します。必要経費には、固定資産税・火災保険料・管理費・修繕積立金・減価償却費などが含まれます。

所得税の税率は累進課税で、課税所得が高くなるほど税率も上昇します。税率は5%から45%まで段階的に設定されており、住民税は一律10%です。

不動産投資で毎月発生するランニングコスト

腕を組む男性と一軒家

毎月発生するランニングコストは、収支計画を立てる上で重要な要素です。これらの費用は毎月確実に発生するため、家賃収入から差し引いて実質的な手取り額を把握する必要があります。

管理委託手数料

管理委託手数料は、不動産管理会社に物件の管理業務を委託する際に支払う費用です。委託を通じて、入居者募集・賃貸借契約の締結・家賃の収受・トラブル対応・滞納家賃の督促などを代行してもらえます。

相場は家賃の5%程度です。例えば家賃8万円の物件なら、月額4,000円の手数料がかかります。

委託する業務範囲によって委託料は異なるため、条件を確認しておきましょう。

管理会社に委託するメリットは、オーナーの負担を軽減できる点です。入居者とのやり取りや、夜間・休日のトラブル対応を管理会社が行ってくれるため、本業が忙しいサラリーマン投資家でも無理なく運営できます。

建物管理費・修繕積立金

建物管理費は、マンションやアパートの共用部分の維持管理にかかる費用です。エントランスの清掃やエレベーターの点検、設備の保守などに使われます。

修繕積立金は、将来の大規模修繕に備えて毎月積み立てる費用です。外壁の塗装・屋上の防水工事・給排水管の交換など、建物の資産価値を維持するために必要な工事費用として使われます。

ワンルームマンションの場合、管理費と修繕積立金を合わせて月額9,000~14,000円程度が目安です。
物件の規模や築年数、立地によって金額は変動します。

注意すべき点は、修繕積立金は経年とともに値上がりする傾向がある点です。築年数が経過するほど修繕箇所が増えるため、積立金も段階的に引き上げられるケースが一般的です。

ローン返済額(元金・利息)

不動産投資では、金融機関のローンを利用して物件を購入するのが一般的です。毎月のローン返済額は、元金部分と利息部分に分かれており、両方を合わせた金額を返済します。

返済額は、借入金額・金利・返済期間などによって決まります。

金利は「変動金利」と「固定金利」の2種類です。変動金利は金利水準が低めですが、市場金利の上昇に伴って返済額が増えるリスクがあります。固定金利は返済期間中の金利が変動しませんが、変動金利より高めに設定されています。

不動産投資で都度発生するランニングコスト

ひび割れした家の壁

都度発生するコストは、発生タイミングや金額の予測が難しいため、不動産投資の収支管理で注意が必要な項目です。これらの費用は突発的に発生し、時には数十万円規模の出費になります。

原状回復・退去時費用

原状回復費用は、入居者が退去した際に、室内を次の入居者が住める状態に戻すための費用です。具体的には、壁紙の張り替えや床の補修、ハウスクリーニング費用などです。

費用の相場は、物件の広さや劣化状況によって異なります。ワンルームマンションの場合、3万~10万円程度が一般的です。ただし、入居期間が長い場合や室内の損耗が激しい場合は、さらに高額になるケースもあります。

原状回復費用の負担区分は、国土交通省の「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン」で定められています。

通常損耗(経年劣化や普通に使用していて発生する損耗)はオーナー負担、故意・過失による損耗は入居者負担というのが基本的な考え方です。

設備修繕・交換費用

設備修繕・交換費用は、エアコン、給湯器、インターホンなどの設備が故障した際に発生する費用です。突発的に高額な出費となるため、不動産投資で予測が難しいコストといえます。

主な設備の交換費用の目安は以下のとおりです。

  • エアコン:7万~15万円程度
  • 給湯器:15万~25万円程度
  • ウォシュレット:3万~6万円程度
  • インターホン:2万~5万円程度

設備の耐用年数は種類によって異なります。エアコンは10~15年、給湯器は10~15年、ウォシュレットは7~10年が一般的な交換時期の目安です。

入居者募集費用

入居者募集費用は、空室が発生した際に新しい入居者を見つけるためにかかる費用です。仲介業者への広告料(AD)が主な内訳となります。

広告料の相場は、家賃の1~2カ月分程度です。例えば家賃8万円の物件なら、8万~16万円の広告料を支払います。競合物件が多いエリアでは、より高い広告料を設定しないと優先的に紹介してもらえないケースもあります。

空室期間が長引くと、家賃収入が途絶えるだけでなく、物件の老朽化も進みます。結果として物件の資産価値が低下するおそれもあるため、適切な広告費を投じて早期に入居者を確保することが重要です。

ランニングコストの計算例

ランニングコストの全体像を把握するため、具体的な物件を例に収支シミュレーションを行います。都心部の中古ワンルームマンションを想定したシミュレーションを紹介します。

  • 物件価格:2,500万円(土地1,500万円、建物1,000万円)
  • 築年数:15年
  • 所在地:東京都内、駅徒歩5分
  • 専有面積:25m2
  • 月額家賃:8万円
  • 年間家賃収入:96万円
  • 表面利回り:3.84%

年間ランニングコスト(年1回発生)

項目計算方法年間費用
固定資産税評価額1,500万円×1/6×1.4%約3.5万円
都市計画税評価額1,500万円×1/6×0.3%約7,500円
火災保険料5年契約を年割り約2万円
地震保険料5年契約を年割り約1.5万円
小計約29万円

固定資産税・都市計画税は、小規模住宅用地の特例(課税標準が1/6)適用後の金額です。実際の評価額は物件価格の約60%として計算しています。

月間ランニングコスト(毎月発生)

項目計算方法月額費用
管理委託手数料家賃8万円×5%4,000円
建物管理費物件により異なる6,000円
修繕積立金物件により異なる5,000円
ローン返済額借入2,000万円、金利2.5%、35年約7.1万円
小計約8.6万円

ローンは物件価格の80%(2,000万円)を借入、頭金500万円を想定しています。金利2.5%、返済期間35年の元利均等返済で計算すると、月額返済額は約7.1万円です。

都度発生コスト(年間想定)

項目発生頻度年間想定額
原状回復費用5年に1回、平均6万円約1.2万円
設備交換費用10年に1回、平均10万円約1万円
入居者募集費用5年に1回、家賃2カ月分約3.2万円
小計約5.4万円

都度発生コストは、発生頻度から年間の平均額を算出しています。実際には一度に支払う金額が大きいため、毎月積み立てておくことが望ましいでしょう。

収支まとめ

この例では、ローン返済を含めると年間約41.6万円のマイナス収支となります。ただし、ローン返済のうち元金部分(年間約40万円)は資産形成につながり、減価償却費(年間約30万円)による節税効果も期待できます。

項目年額月額
家賃収入96万円8万円
年間ランニングコスト-29万円-2.4万円
月間ランニングコスト-103.2万円-8.6万円
都度発生コスト(想定)-5.4万円-0.45万円
収支-41.6万円-3.5万円

なお、実質利回りは以下の計算式で求められます。

実質利回り=(年間家賃収入-年間経費)÷(物件価格+購入諸費用)×100

この物件の場合、実質利回りは約2.4%程度です。表面利回りと実質利回りには大きな差があるため、物件選定の際は必ず実質利回りで判断しましょう。

ランニングコストを抑える方法

棒グラフとcost downの文字

不動産投資の収益性を高めるには、ランニングコストの削減が重要です。年間数万円から数十万円のコスト削減ができれば、長期的には大きな差となって収益に影響します。

ここでは、実践的なコスト削減の方法を4つ紹介します。いずれも適切に実行すれば、物件の資産価値を維持しながら費用を抑えられる方法です。

築浅物件を選ぶ

築浅物件を選ぶことは、ランニングコストを抑える効果的な方法の一つです。新しい物件ほど修繕費や設備交換費用が少なく、維持管理にかかる手間も軽減できます。

築浅物件のメリットは、設備の故障リスクが低い点です。エアコンや給湯器などの設備は、購入後すぐに交換が必要になる可能性が低くなります。少なくとも10年程度は、大きな設備投資をせずに運営できるでしょう。

管理会社を見直す

管理会社の見直しは、毎月のコストを削減する有効な方法です。管理委託手数料は家賃の5%が相場ですが、会社によっては3~4%で提供しているケースもあります。

例えば、月額家賃8万円の物件で手数料率を5%から3%に下げた場合、月額1,600円、年間で約1.9万円の削減になります。

複数の物件を所有している場合、削減効果はさらに大きくなるでしょう。

管理会社を選ぶ際のポイントは、手数料の安さだけで判断しないことです。サービス内容・対応の質・実績・入居者募集力なども重要な判断材料となります。

併せて、入居率の実績やクレーム対応の速さ、修繕工事の見積もり精度なども確認しましょう。

経費計上を漏れなく行う

経費計上を漏れなく行うことは、税負担を軽減し、実質的な収益を増やす重要な方法です。不動産投資では、さまざまな支出を経費として計上できます。

確定申告で経費計上できる主な項目は以下のとおりです。

経費項目内容
固定資産税・都市計画税所有する不動産に課される税金
火災保険料・地震保険料物件にかける保険料
管理委託手数料管理会社への支払い
建物管理費・修繕積立金マンションの維持管理費
修繕費原状回復、設備交換など
減価償却費建物取得費を耐用年数で按分
ローン利息借入金の利息部分のみ
広告宣伝費入居者募集の広告料
交通費物件確認や管理のための移動費
通信費不動産投資に関する電話代など
新聞図書費不動産関連の書籍や情報誌
税理士報酬確定申告を依頼した場合

特に見落としがちな経費が、交通費や通信費です。物件の確認や管理会社との打ち合わせで発生した交通費は経費になります。携帯電話代も、不動産投資に使用した割合分を按分して計上できます。

減価償却費は、実際の支出を伴わずに計上できる経費です。建物の取得費用を法定耐用年数で割り、毎年一定額を経費として計上します。木造は22年、鉄筋コンクリート造は47年が法定耐用年数です。

ローンの借り換えを検討する

ローンの借り換えは、毎月の返済額を削減する効果的な方法です。現在より低い金利で借り換えができれば、総返済額を大幅に減らせます。

借り換えのメリットを具体例で見てみましょう。

金利3%の場合

借入残高2,000万円、残存期間25年で金利3%の場合、月額返済額は約9.5万円です。

計算式:月額返済額 × 返済月数(12ヶ月 × 25年)
= 9.5万円 × 300ヶ月 = 総返済額2,850万円

金利2%の場合

同じ条件で金利2%に借り換えると、月額返済額は約8.5万円となります。

計算式:月額返済額 × 返済月数(12ヶ月 × 25年)
= 8.5万円 × 300ヶ月 = 総返済額2,540万円

削減効果

金利3%から2%への借り換えにより、月額返済額で1万円、25年間の総返済額で約310万円の削減が実現します。

現物不動産投資と不動産クラウドファンディングの違い

不動産投資には、物件を実際に購入する「現物不動産投資」と、少額から始められる「不動産クラウドファンディング」の2つの選択肢があります。

それぞれの特徴を理解し、自分の目的や資金状況に合った方法を選ぶことが重要です。

比較項目現物不動産投資不動産クラウドファンディング
最低投資額数百万~数千万円1万円程度~
初期費用物件価格の7~10%なし
ランニングコスト年間家賃収入の20~30%なし
管理の手間多い(管理会社委託可)なし
想定利回り3~6%程度(実質)3~8%程度
レバレッジローン利用可能利用不可
流動性低い(売却に時間)低い(運用期間中解約不可)
節税効果高いなし
所有権ありなし
元本保証なしなし

現物不動産投資は、物件そのものを所有するため、自由度が高く節税効果も期待できます。一方、初期投資額が大きく、管理の手間やランニングコストがかかる点が課題です。

不動産クラウドファンディングは、インターネットを通じて複数の投資家から資金を集め、不動産運用を行う仕組みです。投資家は出資を通じて収益分配を受けられ、物件の管理や入居者対応はすべて運営会社が担います。

不動産クラウドファンディングのメリットは、少額から始められる点です。1万円程度から投資できるため、まとまった資金がない投資初心者でも参加できます。

複数の物件に分散投資することで、リスクを抑えられる点も魅力です。現物不動産では一つの物件に資金が集中しますが、クラウドファンディングなら複数の案件に資金を振り分けられます。

まとめ

不動産投資のランニングコストは、年間家賃収入の20~30%程度が目安です。固定資産税・管理費・修繕費など、さまざまな費用が発生するため、物件購入前に正確な収支シミュレーションを行うことが欠かせません。

ランニングコストを抑える方法として、築浅物件の選択や管理会社の見直し、ローンの借り換えなどが有効です。これらを適切に実行すれば、年間数万円から数十万円のコスト削減が可能となります。

管理の手間を省きたい方には、不動産クラウドファンディングという選択肢もあります。1万円程度から少額投資ができ、物件管理の負担がない点が魅力です。目的に応じて、現物不動産投資と使い分けることも検討してみてはいかがでしょうか。

不動産投資で発生するランニングコストに関するよくある質問

Q&Aの文字とノート
年間のランニングコストはどれくらいですか?

不動産投資では、年間家賃収入の20~30%程度が目安です。固定資産税や都市計画税、管理費、修繕積立金、火災・地震保険料などが含まれます。

ランニングコストはどうやって計算しますか?

費用は発生頻度ごとに整理するとわかりやすいです。年1回、毎月、都度発生する費用をそれぞれ計算し合計することで、年間の総コストを見積もれます。

ランニングコストを抑える方法はありますか?

築浅物件の購入、管理会社手数料の見直し、経費計上の漏れ防止、ローン借り換えなどで削減可能です。長期的には年間数万円~十数万円の節約につながります。

ローン返済や修繕費を含めると収益がマイナスになることはありますか?

はい、ローン返済や突発的な設備修繕で短期的にマイナスになる場合があります。ただし、元金返済や減価償却費による節税効果で、実質的には収支改善が期待できます。

現物不動産投資とクラウドファンディングはどちらが向いていますか?

現物は節税効果や自由度が高く、資産形成に有利ですが初期費用や管理負担があります。クラウドファンディングは少額から投資可能で管理不要、複数案件に分散投資できます。

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穴吹興産株式会社  不動産ソリューション事業部
アセットマネジメントグループ課長  穴吹 章彦

【資格】
・宅地建物取引士
・不動産証券化協会認定マスター

【経歴】
ソリューション事業部の業務に7年従事し、投資用不動産のアセットマネジメント業務を経験。現在は不動産特定共同事業におけるファンドの組成業務に従事し、投資家との契約業務全般を担当。不動産クラウドファンディングの仕組みや専門用語を解説しながら、情報発信を行っている。

 

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