物件管理の手間なく、ただ利益配分を待つだけという気軽な仕組みで不動産投資をおこなえるのが不動産クラウドファンディングの魅力です。
実際に利用してみたいとご検討中の投資家の方や、投資デビュー前の方も多いのではないでしょうか。
しかし、インターネットでいろいろ下調べをしているとメリットや人気だけでなく、「失敗」「トラブル」「デメリット」などとリスクに関する情報も出てきます。投資であるからにはある程度のリスクはつきものであるにしても、実際に不動産クラウドファンディングではどのような失敗事例があるのか知っておきたいものです。 本記事では、どのような失敗が起きやすく、どのような対策があるのかなどを具体的に解説しています。
不動産クラウドファンディングの失敗と言われる状況にはどのようなものがある?
不動産クラウドファンディングに限らず、「投資」というものがあくまで「利益を見込んで」株式や信託、権利などを購入する行為であるため、必ず成果を得られるという保証はなく、インターネット上では「失敗した」という体験談が見られることもあります。
そういった他人の体験談を参考にする際には、「どのような状況か」「誰にでも起こりうる失敗か」「対策をしておけば防止できたのか」などの詳細までを知り、参考にすることが大切になるでしょう。
ここでは、不動産クラウドファンディングで投資をした人々の「失敗」の声にはどのようなものがあるのかを具体的に見ていきましょう。
利用開始後に信頼度の低い事業者であると分かった
不動産クラウドファンディングでは、投資者は直接不動産へ投資をおこなうのではなく、不動産クラウドファンディング事業者へ投資をおこないます。そして事業者が不動産を購入・運用して利益を出し、投資者へ利益を分配するという仕組みです。
不動産クラウドファンディングに参入している事業者の多くは不動産関連事業において実績を積んだ企業であることが多いですが、なかには残念ながら、信頼度の低い、例えば最適な不動産運用をおこなう基盤が足りていない事業者や、投資者への対応が完全ではない事業者もみられるようです。
尚、2024年現在の不動産クラウドファンディングは、国土交通大臣や都道府県知事が「不動産特定共同事業法」に基づいた正式な認可を出している事業者しか提供できないサービスです。そのため、認可済であることが確認できる事業者であれば、少なくとも例えば「素性も知れないような怪しい業者」ではないとはいえます。
事業者が倒産した
前項の信頼度に関わる点ではありますが、最悪の場合、自分が投資した不動産クラウドファンディングの事業者が、いつの間にか倒産していた……という場合もあります。
例えば仮に、その事業者の業績状況が決しておぼしくないことを把握したうえで投資したという状況であれば話は別ですが、ほとんどの場合はそうではなく、投資者にとっては寝耳に水という事態になるでしょう。
不動産クラウドファンディングについては国が事業者に認可を出しているというのは前述のとおりですが、認可条件に企業そのものの経営状態などは含まれていませんので、事業者の業績状況や実績などで判断していく必要があります。
中途解約をしたくてもできない
この点については失敗というよりも投資者側の事前確認不足によるものですが、不動産クラウドファンディングでは基本的に、投資後(案件運用開始後)の中途解約ということはできなくなっています。
例えばもし投資者がいつでも状況を見て中途解約できて返金してもらえるという仕組みであったならば、既に計画どおり資金を集めて不動産を購入して運用している以上、事業者側が簡単に赤字となってしまうことになります。不動産クラウドファンディングではあくまで予め設定された運用期間を終えた後、その時点での最終的な運営成績に応じて投資者へ分配金が支払われます。
そのため、特に長期間運用のファンドを選択していた場合に、例えば社会情勢の急な変化などによって投資者側が損失がふくらむ危機を感じたとしても、好きなタイミングで現金に戻すということは基本的にできません。
運用期間やゴールが明確に定められた投資であるということを理解したうえで、利用を検討することが大切です。
分配金を得られない状況になった
前述の事業者の倒産や、事業者側の債務不履行、そのほか様々な理由で、本来得られるはずだった分配金を投資者が得られない状況になってしまった場合は、大きなトラブルといえます。状況によっては国民生活センターや弁護士などに相談する必要も出てくるでしょう。
ただし、後述する「元本割れ」については、投資の仕組み上、起こりうることではありますので注意が必要です。
償還遅延が発生した
分配金の支払いが行われないという事態まではいかないものの、当初予定されていた時期よりも支払いが遅れてしまうという事態もごくまれに見られます。
例えばなんらかの理由で運用終了後の不動産の売却が予定どおりに進まなかったといった理由が考えられます。
最終的にきちんと償還されるのであれば失敗とまではいえないかもしれませんが、出資者側の想定を超える期間、資金がロックされてしまうのであればやはり問題です。
この場合、そもそもの不動産クラウドファンディングサービスの利用規約上、どのような取り決めになっているのかを確認する必要があります。
確定申告の対象となることを知らなかった
このケースは、投資者側の事前確認不足による失敗といえます。
不動産クラウドファンディングで得られた分配金は、全額をまるまる受け取れるのではなく、税法上「雑所得」あるいは「不動産所得」に該当することになり、支払い前に事業者側で源泉徴収がおこなわれます。
雑所得にあたるか不動産所得にあたるかは利用した案件の運用形態によって異なり、「匿名組合方式」(出資者から集められた資金で事業者が不動産を購入・運用)であった場合には分配金は「雑所得」、「任意組合方式」(出資者自身が任意組合を作り、その組合が不動産を購入・運用)であった場合には分配金は「不動産所得」という扱いになります。
いずれにしても、この点をもし知らずに不動産クラウドファンディングへ投資してしまった場合は、いざ分配金を受け取る段になって「想定よりも利回りが少ない!」ということになりかねません。
「元本割れ」が発生した
不動産クラウドファンディングを始めとした様々な投資において「失敗」とされる経験談の中で、もっとも多く見られるのはこの「元本割れ」かもしれません。
元本割れとは、端的にいえば「最初に自分が投資した金額よりも、少ないお金しか最終的に受け取れなかった」という、いわゆる“マイナス収支”の状態です。 不動産クラウドファンディングの元本割れの可能性について、引き続き次章でもう少し詳しく解説します。
不動産クラウドファンディングについてさらに基本的なところから知りたい方は、こちらの記事もぜひご覧ください。
「元本割れ」という状況について理解しておこう
自分の資金を増やせることを期待して投資をおこなうわけですから、結果的にマイナス収支となる「元本割れ」になってしまうことは極力避けたいものです。
不動産クラウドファンディングも投資である以上、可能性としては「元本割れ」が起こることもありえます。
具体的にはどのような状況であるかを解説します。
元本割れはどのような仕組みで起こる?
不動産クラウドファンディングでは、基本的に当該不動産の売却で得た資金をもとに、出資者へ出資金の返還をおこないます。 元本割れが起きてしまうケースのほとんどでは、この不動産売却時に想定していた価格での売却がかなわず、いわゆる「売却損」が発生してしまって資金が不足する、という状況が起きています。
元本割れの事例自体は少ないが、元本保証ではないということを理解しておく
実際的な状況において、不動産クラウドファンディングは比較的リスクの少ない投資手段であるといわれていることからも分かるように、実際に元本割れが発生した事例はあまり知られていません。
とはいえ、不動産クラウドファンディングの仕組みは「元本保証ではない」ため、あくまで可能性としては元本割れのリスクもあるものだという理解のうえで、投資額を検討することをおすすめします。 また、本記事の「成功させるための重要ポイント」の項で後述する「優先劣後方式」は、元本割れのリスクをさらに低減させることができる投資方法です。あわせて把握しておきましょう。
不動産クラウドファンディングの「元本割れ」については、こちらの記事でも詳しく解説しています。
リスクの性質を他の投資方法と比較!
不動産クラウドファンディングの失敗ケースやリスクについて理解できたところで、「他の投資手段と比較するとどうなのか」という点が気になる方もいらっしゃることでしょう。
ここでは、よく比較される代表的な投資手段と比較して要点を解説します。
「J-REIT(不動産投資信託)」と比較
「J-REIT」は、不動産クラウドファンディングと同じように小口化された不動産投資を多くの出資者が集まっておこなうことから、よく比較対象になります。
不動産クラウドファンディングとの大きな違いとしては、J-REITはあくまで投資信託の一種であるため、投資対象となる不動産については投資者が選択するのではなく、ファンドごとの運用方針に基づき専門家が選定をおこなうかたちとなります。
そのため、不動産クラウドファンディングのように「自分で不動産の概要や詳細を確認しながら将来性を検討して選ぶ」ということはできませんが、代わりにその道のプロがしっかり投資先を吟味してくれます。この点を、リスクが低いと感じるかリスクが高いと感じるかは人それぞれとなるでしょう。
また、もうひとつの大きな違いとして、J-REITは証券取引所に上場している投資信託であるため、上場株式と同じように投資家が任意のタイミングで自由な売買をおこなえます。
例えば相場状況をリアルタイムで監視し、投資家自身が知識や経験則に基づいて「利益が最大と思われる」タイミングで売却し利益を確定する、ということも可能です。
ただしその半面、為替の影響での浮き沈みは激しいため、そういったことに慣れていない方にとってはリスクが大変高くなります。
「ソーシャルレンディング」と比較
「ソーシャルレンディング」は、「融資・貸付型クラウドファンディング」とも呼ばれ、資金を集めたい企業と、投資家がインターネット上でつながる仕組みです。
投資家はソーシャルレンディング事業者に対して投資をおこない、事業者がそれをもとに「お金を借りたい企業」へ融資をおこないます。お金を借りた企業がその資金を何に使うかは一定ではありませんので、不動産以外の使い道となる場合もあります。
最終的に、融資先の企業から事業者が回収した元利金が原資となり、投資家へ利益が分配されます。
リスクとしては、もしも融資先の企業の業績が著しく悪化したり、最悪の場合倒産してしまったりという事態で事業者に対しての返済がおこなわれなかった場合、投資家への償還が元本割れしてしまう可能性があります。 元本割れのリスクがある点は不動産クラウドファンディングも同様ではありますが、不動産クラウドファンディングの場合は投資先となる不動産自体の詳細や物件名などを予め把握できるのに対して、ソーシャルレンディングの場合には、融資先となる企業の事業内容や想定状況は知ることができるものの、具体的な企業名などは知ることができない場合も多くあります。
「現物不動産投資」と比較
「現物不動産投資」とは、その名のとおり投資者が自分で「現物の不動産」を購入し、自身で運用して例えば賃貸収入を得たり、商業施設の業績をあげたりして利益を得るというものです。
現物不動産投資の場合は、前述で挙げた少額投資から始められるほかの投資手段と異なり、不動産をまるごと購入することになりますので初期投資の額が桁違いに大きくなります。 また運営責任もすべて自分にありますので、リスクは最も大きくなり、不動産投資のノウハウがあり手慣れた人でないとスムーズに利益を出すことは難しいでしょう。そのぶん、成功した際の利益も大きなものが見込めます。
失敗しないために抑えておこう! 失敗したといわれている不動産クラウドファンディングの事例
ここではご参考までに、不動産クラウドファンディング業界で過去に起きた失敗の事例をいくつかご紹介します。
事業者の不動産事業に問題が生じ業務停止命令! 直接的な問題のない不動産クラウドファンディング事業までも停止
不動産事業および不動産クラウドファンディング事業を展開していたA社は、本業の不動産事業のほうで問題が発生してしまい、業務停止命令にまで至ってしまいました。
不動産クラウドファンディングへの投資者は、あらかじめ事業者の業績やクラウドファンディングの分配金実績などを下調べし安心して投資していたものの、上記の問題でクラウドファンディング事業までも停止となってしまったため、本来得られずはずだった分配金を得ることができなくなってしまいました。
不動産業界自体の状況悪化により、不動産価値の大幅な低下
ある年では国の金融政策との兼ね合い、経済の落ち込みなどの要因が重なり、不動産業界自体の需要が少なくなって、特に賃貸市場に変調がみられました。
各不動産クラウドファンディング事業者は充分な検討を重ねたうえでファンドを展開していたものの、想定の収益を得られない案件も多く発生してしまいました。
現在の不動産クラウドファンディングは、前述のように「不動産特定共同事業法」の認可を得られた事業者だけが提供できるサービスであるため、正式に認可を取得した事業者であれば、このような心配はほぼないでしょう。 それに加え、「万が一にもおかしな事業者を選んでしまわないために」重要なことを、次章で続けて解説します。
不動産クラウドファンディングを成功させるための重要ポイント
不動産クラウドファンディングの事業者や商品を選定する際には、以下で挙げるようなポイントに特に注意しておきましょう。
運営事業者についてしっかりと下調べをする
不動産の運用を事業者が行い、利益を出すという仕組みの特性上、運営事業者の信頼度や、過去の運用実績をチェックしておくことはとても大切です。
不動産クラウドファンディングを提供する事業者の多くは、不動産販売事業や開発事業などもおこなっています。
クラウドファンディングそのもの以外の実績なども公式サイト上で確認し、不動産関連のノウハウを長年積んだ、総合的に信頼のおける事業者であるかを判断しましょう。
案件数や物件の種類、募集頻度が多い事業者を選ぶ
いくら事業者自体に信頼がおける場合でも、公開されている投資案件の数や種類が少ない場合には注意が必要です。
それらが少ない場合、案件が公開された途端に、手慣れた投資者の即時応募によって枠がすべて埋まってしまう、ということが起こりがちです。
じっくり内容を検討してから投資を決定したいという初心者にとっては特に、案件数や種類が少ない事業者は向いていないでしょう。
案件で公開されている不動産情報が充分かをチェックする
Webサイト上で公開されている案件情報では、例えば予定分配率や運用期間といった基本情報だけでなく、不動産建物の複数の方角からの外観写真、想定収支スキーム、具体的な想定リスクなど、投資者目線にたった細かな情報が網羅されていることが理想です。
リスクを考慮し、投資は分散しておく
慎重に事業者を選んだうえで、最初のうちはさらに、同事業者内で公開されている「複数の案件」へ投資を分散しておくとよいでしょう。
どんなに安定した結果を残している事業者であっても、世間の経済状況や不足の事態などの影響で、すべての案件では期待した利益を出せない可能性があります。
ファンドの運用期間は自分に合ったものを選ぶ
ファンドの運用期間については、数か月ほどで運用が終わる短期のタイプから、数年単位で運用する長期タイプまで様々です。
特に初心者のうちは、運用結果が想定から大きく離れにくく、またすぐに結果を得られる短期タイプから始めてみることをおすすめします。
「優先劣後方式」を選択することも視野に入れる
「優先劣後方式」とは出資制度の一種で、万が一ファンドの運用に損失が出てしまった場合にも、まずは事業者側からの出資金で損失を充当しようとし、それでも足りない場合には投資者側の出資金を使わせてもらう、という約束が予め取り交わされます。
優先劣後方式を選択できるファンドであれば、原本割れが起こってしまうリスクを最低限にできるため、事業者のファンドに優先劣後方式のものがあるかもチェックしておきましょう。
マンション開発や不動産流通のプロである「あなぶき興産」の不動産クラウドファンディング
最後に、穴吹興産株式会社が運営する不動産クラウドファンディング「Jointo α(ジョイントアルファ)」をご紹介します。
不動産開発のプロ「あなぶき」が提供する不動産クラウドファンディング「Jointo α(ジョイントアルファ)」
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不動産クラウドファンディングの失敗は基本知識の理解・下調べと正しい事業者選びで回避できる
様々な他の投資手段と同じく、不動産クラウドファンディングも決して「必ず利益が約束されている方法」というわけではありません。実際に、投資をおこなったうえで「失敗した」と感じられているケースも存在します。