優先劣後出資制度とは? – 不動産クラウドファンディング用語解説 –

不動産クラウドファンディングの用語である先劣後出資制度を解説

不動産クラウドファンディングで投資を行う際、欠かさず確認したいのが優先劣後出資制度を採用しているか否かです。今回は、優先劣後出資制度とはどのような仕組みなのか、詳しく解説していきます。

目次

優先劣後出資制度とは?

「優先劣後出資制度」とは、出資者が元本を取り戻せないほど損をしてしまう、いわゆる元本割れのリスク負担を、投資家と事業者で切り分ける制度です。

優先劣後出資制度の仕組み

優先劣後出資制度では、案件に投資家だけでなく事業者も出資を行います。投資家側は「優先出資者」という扱い、不動産クラウドファンディングを運営する事業者側は「劣後出資者」という扱いになります。ここでいう「優先」「劣後」は、守られる順番と考えるとよいでしょう。

不動産クラウドファンディングで損失が出た場合

まずは、事業者側の「劣後出資者」が先に損失分を負担します。それでも損失を補うことができない場合には、投資家側の「優先出資者」の出資金で補います。

不動産クラウドファンディングで利益が出た場合

投資家側の「優先出資者」へ優先して利益を分配します。

つまり、優先劣後出資制度が採用されていないファンドと比較すると、多少の運用損失があった場合でも出資者側に「元本プラスアルファ」の償還がなされる可能性が高く、元本割れのリスクは低いといえます。

優先劣後出資制度のメリット

優先劣後出資制度の一番のメリットは、投資家の元本割れのリスクが低くなる点です。

例えば、優先出資90%、劣後出資10%の案件では、不動産価格下落などによる損失が出た場合でも、約10%までの下落であれば優先出資者の元金には影響がありません。

劣後出資の比率が多いほど、カバーしてくれる範囲や額も大きくなります。そのため、投資家の元本割れリスクは低くなるのです。

ただし、必ずしも事業者がすべての損失を負担するわけではありません。あくまでも優先劣後の関係であり、損失が事業者の出資分を超えた場合、超えた分については投資家の負担となります。

優先劣後出資制度のデメリット

元本割れのリスクが低くなるというメリットがある一方、出資枠が少なくなるというデメリットがあります。劣後出資の割合が多い場合、優先出資割合はそれだけ少なくなります。

例えば、優先出資70%、劣後出資30%の案件では、募集金額10,000万円だとすると優先出資の投資可能額は7,000万円までとなります。

人気のある案件であれば、申込が集中してしまい、販売開始からすぐに募集が終了してしまうこともあります。

積極的に投資を行っていきたい方にとっては、デメリットに感じるのではないでしょうか。

※出資総額に対する優先劣後出資の割合は、事業者や商品によって様々です。

優先劣後出資制度を導入する理由

投資家側のメリットが多いように感じる優先劣後出資制度ですが、事業者側はなぜこの制度を導入するのでしょうか。

不動産クラウドファンディングで優先劣後方式を導入している一番の理由としては、投資家からの出資金を集めやすくなるからです。

元本割れが起こってしまうリスクを最低限にできる優先劣後出資制度は、投資初心者でも安心して投資できる仕組みです。

また、事業者からしても、不動産クラウドファンディングは他の投資手法と比べてまだまだ利用者数は少ないため、少しでも出資金を増やしたいと考えています。

このように、投資家側と事業者側の双方にとってメリットがあるのがこの「優先劣後出資制度」です。

投資家を守る「優先劣後出資制度」

不動産クラウドファンディングは元本保証がない投資形態であり、元本割れを完全に回避することはできません。しかし、優先劣後出資制度の導入によって、配当による収益だけでなく、優先出資者の元金をできる限り保全することが可能です。

優先劣後方式を選択できるファンドであれば、元本割れが起こってしまうリスクを最低限にできるため、事業者のファンドに優先劣後方式のものがあるかもチェックしておきましょう。

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